2023 Fiscal Year Research-status Report
臨床実現を目指した脳組織水フラクショナルMRイメージングの確立
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23K07135
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
金澤 裕樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80714013)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミエリン / MRI / 組織分画水容積分布 / MWF / 機械学習 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳組織の恒常性を正確に計測するために,バイオメカニクスやハイドロダイナミクスを除いた,定常状態の脳神経細胞の組織分画水容積分布を可視化する手法(脳組織水フラクショナルMRイメージング)を臨床MRIで実現することである.令和5年度は,脳組織分画水数値ファントムの作成およびT2緩和計測法による組織体積分率導出の確立の研究を中心に,研究代表者の所属施設にあるMRI装置およびワークステーションで実施した. 脳組織分画水数値ファントムの作成の研究については,MRシミュレータを用いて実験を行った.ファントムの構成は,3つの構造水で構成した;ミエリン鞘,軸索,細胞内外液.各組織に緩和時間を設定した:T1 = 350, 850, 2800 ms;T2 = 10, 40, 80 ms.プロトン密度は,正常白質組織としてMWF = 12% になるように各組織で設定し,真値とした.撮像シーケンスは,spoiled gradient-echo(SPGR)法を使用して,自作した数値ファントムの画像を取得した.画像からファントムの信号値を取得し,T2緩和計測法により振幅を算出した.SPGR法は,一般的に外部磁場(B0)の影響を受けるため,異なるB0不均一を付加し振幅の変動を調べた.神経組織の緩和時間を考慮することで,詳細な組織の構造物解析(MWF算出)の精度検証をすることができた. 次にT2緩和計測法による組織体積分率導出の確立の研究に関しては,シミュレーションおよび健常ボランティアによる検討を行った.ミエリン水分画率(MWF)は,ミエリンと軸索/細胞外水からなる 2 成分モデルから計算した.T1およびT2*値を使用して信号シミュレーションを実行し,繰り返し時間(TR)とフリップアングル(FA)を最適化した.次に,健康な被験者(22歳男性)に3テスラMRI装置を使用し,マルチエコー3D-SPGR法でシミュレーションで絞り込んだ条件のデータを収集した.その結果,SPGR信号から導出されるMWFの精度は,TRとFAの設定に依存することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳組織分画水数値ファントムの作成の研究において,プロトタイプではあるが,Bloch方程式より算出した信号値を数値ファントムとして構築することができ,MRシミュレータ上で実行可能になった.現在は,有髄軸索の電子顕微鏡像から構造物を分割し機械学習にてプロトン密度を算出する手法も着手している.T2緩和時間計測法においてMWFの算出手法の検討において,関して概ね検討し定量的に評価することができた.以上より,一定成果の成果を上げることができたので,概ね順調な進捗状況であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,脳組織分画水数値ファントムの作成に関して,機械学習プログラム及びアルゴリズムの開発を経て,MRシミュレータによる検討を行う予定である.ファントム実験に関しては,過去に報告があったいくつかのT2緩和計測法やマルチコンポーネントモデルについて検討し,比較する予定である.また,T2緩和計測法の検討では,雑音の影響を考慮してスパースモデリング,最尤推定法,ベイズ推定法などの数理アルゴリズムを実装し,検討を進める予定である.加えて,mcDESPOT法による組織体積分率導出の確立の研究にも着手する予定である.
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Causes of Carryover |
円安の影響で購入予定していたワークステーションの支出が無かったため,次年度使用額が生じた.翌年度分として請求した研究費と合わせて,ワークステーションの費用として使用する予定である.
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