2023 Fiscal Year Research-status Report
L-アスパラギナーゼの核小体ストレス応答を介した新たな抗がん作用の解明
Project/Area Number |
23K07317
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 達郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50902269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
中川 俊輔 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60789973)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 核小体ストレス応答 / アスパラギナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
核小体ストレス応答とは薬剤などの刺激によりリボソームRNAの転写抑制がトリガーとなって核小体が崩壊し、RPL11を中心としたリボソーム蛋白が核質内に放出され、MDM2と結合することでP53が安定し、細胞増殖を抑制する近年注目されている抗腫瘍効果である。我々は予備実験の結果からアスパラギナーゼが本来の抗腫瘍効果とは別に核小体ストレス応答を介した抗腫瘍効果を持つと推測して、本研究を立案した。 2023年度は核小体ストレス応答を介する抗腫瘍効果をもつことを証明するために下記の実験を行った。 コントロールとして核小体ストレス応答を引き起こすことが知られているアクチノマイシンDを用いて、白血病細胞株であるNalm6に設定した各濃度のアスパラギナーゼを異なる時間暴露させた集団を作成し、それぞれの状況で産生されるrRNAの量を測定するために45S-pre-rRNAの発現量をRT-PCRで評価した。 結果として、調製した各濃度のアスパラギナーゼを一定時間暴露させた群ではアスパラギナーゼ非暴露群に比べて、45S-pre-rRNAの発現が低下していることが示された。 現在、アスパラギナーゼを介した核小体ストレス応答の結果、安定化したTP53が増加することを証明するために、同様に白血病細胞株Nalm6を用いてアスパラギナーゼ(第一段階と同様にアクチノマイシンDをコントロールとして用いている)を設定した各濃度・時間で暴露させて、ウエスタンブロットでTP53のタンパク発現量を評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アスパラギナーゼによるrRNAの抑制を確認するRT-PCR、P53のタンパク発現、それぞれの実験において結果のばらつきがあり、それに対する再現性を確認するために実験を繰り返し、この段階に想定よりも時間を要しているため、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究からアスパラギナーゼがrRNAを抑制する可能性が示唆された。2024年度は現在行っているアスパラギナーゼ投与下でのウエスタンブロットでのP53の蛋白量の評価、アスパラギナーゼにより核小体が崩壊することを確認するために抗ヌクレオホスミン抗体での免疫染色などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定してたよりも研究の進捗に時間を要しており、物品費用が少ないため、昨年度分を今年度に繰り越して使用する。
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