2024 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌患者末梢血とTLSにおける腫瘍特異的CD8+T細胞の疲弊ステージの解析
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23K07376
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 英司 九州大学, 医学研究院, 教授 (00315475)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 享子 九州大学, 大学病院, 助教 (50896933)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 消化器腫瘍 / 免疫チェックポイント阻害 / 腫瘍特異的T細胞 / 疲弊T細胞 / 三次リンパ組織 |
| Outline of Annual Research Achievements |
消化器腫瘍組織では宿主の免疫細胞が集合し三次リンパ組織(TLS)と呼ばれる構造体を形成する例が見られ、予後良好に関連している。しかし疲弊状態にある腫瘍特異的T細胞(Tex)におけるTLSの役割は明らかではない。本研究では、腫瘍組織のTLS内外に分布する腫瘍特異的CD8+T細胞の疲弊段階をイメージングマスサイトメトリー法により詳細に測定し、抗腫瘍効果を発揮するCD8+T細胞の疲弊段階による組織内分布を明らかにすることで、有効な腫瘍免疫療法の確立につなげることを目指している。食道扁平上皮癌30症例を対象に、腫瘍組織TLSを構成するTexとTLS周囲に存在する腫瘍浸潤Texの疲弊段階毎の細胞数を測定した。その結果、疲弊状態が比較的早期で増殖能の高い幹細胞様疲弊前駆細胞(Tpex)は主にTLS内に集積しており、疲弊が進み細胞障害活性が高い分化型疲弊T細胞(dTex)はTLS外により多く検出された。そして患者毎のTpexとdTexの細胞組成を比較すると、TLS中のTpexの多い症例では免疫チェックポイント阻害治療がより有効である傾向が見られた。TLS内外のT細胞と、その他の免疫細胞や腫瘍細胞との距離を測定すると、TpexはTLS中に集積しており、TLS外の腫瘍近傍ではdTexがより多いことが明らかとなり、これはTLSからTpexが腫瘍細胞に向けて移動する過程で疲弊状態が変化してdTexとなる可能性を示唆している。これらの知見は、腫瘍組織内のTLSの腫瘍特異的Texの機能への関与についての理解を深める情報となる。進行食道癌症例を対象に研究とした解析結果を報告し、さらに進行胃癌症例の腫瘍組織、末梢血免疫細胞の解析も同時に進行しており、萎縮粘膜の背景の有無など発生母地が多様な胃癌における腫瘍特異的T細胞の解析など新たな知見が期待される。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象である消化器腫瘍として、進行食道癌30症例の腫瘍組織と末梢血免疫細胞、さらに二次リンパ組織を用いた解析結果を2024年度に報告した(Nat Commun. 2024;15:9033)。また胃癌症例についても検体の収集を継続し、同様の手法でより詳細な疲弊T細胞の解析を継続している。 消化器腫瘍組織TLSおよびnon-TLS Texの構成細胞の定量的解析には、切除された消化器癌組織のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体を、37種の分子に対する金属安定同位体ラベル抗体により多重染色しマスサイトメーターにて測定した。検体間での測定差が生じないよう、抗体の標準化の確認を定期的に実施している。得られたデータを基にイメージ解析ソフトウェアにてTLS構成細胞の発現蛋白、位置情報の解析も順調に実施できている。
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| Strategy for Future Research Activity |
進行胃癌症例では食道癌の解析と同様に、特定の疲弊状態にあるT細胞(Tpex, dTex)がTLSの内外にどのように分布するかを測定し、この傾向が免疫チェックポイント阻害治療の有効性にどう関与するかを改めて検討する。抗腫瘍免疫の機能を発揮するために、腫瘍特異的T細胞に対する抗原提示は二次リンパ組織だけでなく三次リンパ組織(TLS)でも行われていると考えられる。それらの機能的な違いを解明するため、今後各細胞において新たな発現分子の解析を実施する。
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