2023 Fiscal Year Research-status Report
核内transcriptomeから解明する肥満大腸がん患者のmetabolism
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23K08093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
森山 大樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70586859)
永吉 絹子 九州大学, 大学病院, 助教 (90761015)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大腸癌 / scRNA-seq / metabolism / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は、アディポカイン、炎症性メディエーター、免疫細胞の浸潤など他の因子の調節異常による慢性炎症状態を作り出すことにより大腸癌の素因となることが知られているが、実際に肥満により大腸がんが発症する明確な機序は明らかになっておらず、予防法も確立していない。本研究では、単一核遺伝子発現解析(snRNA-seq)を用いて肥満が大腸がん発がんを促進するメカニズムを腫瘍微小環境の代謝の観点から明らかにし、新しい大腸がん発がんの予防法を開発することを目的とする。 本年度は、大腸癌組織を採取し、シングルセル解析を行った。すでに大腸癌を含む消化器固形癌200例を超えるライブラリー作成をしている。解析はRパッケージSeuratを用いて行っており、単一細胞由来のRNA発現からその細胞集団の特徴や機能に着目した解析、分化の方向性を調べる疑似系譜解析、細胞間相互作用の解析、TCRレパトア解析などを行っている。複数の大腸癌組織における腫瘍内の免疫細胞や線維芽細胞などの微小環境構成細胞のheterogeneityを明らかにし報告を行った。また、当科では、年間1000例以上の大腸癌を含む消化器癌の手術を行っており、ほとんどの症例においてOCT compoundで包埋した凍結切片をtissue bankとして保存している。本年度は、胃癌の凍結切片から8例のsnRNA-seqのためのライブラリー作成に成功しており、同様に大腸癌の凍結切片からのライブラリー作成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌の凍結切片を用いたsnRNA-seqのためのライブラリー作成は安定した結果を得ることができるようになっている。また、大腸癌のscRNA-seqのデータを用いて解析をすすめており、免疫微小環境における様々な免疫細胞や線維芽細胞のはたらきについて明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は胃癌にならって大腸癌のsnRNA-seqのためのライブラリー作成手技を確立する。肥満の有無でサブグループに分け、得られたsnRNA-seqのデータを用いて微小環境中の各細胞種の遺伝子発現比較を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。次年度は引き続き抗体等の研究用試薬、解析費用に使用予定である。
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