2023 Fiscal Year Research-status Report
心臓血管外科領域におけるiPS細胞技術を用いた新規遺伝子治療ベクターの開発
Project/Area Number |
23K08232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40281092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 啓造 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (10301920)
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
村田 梢 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80884329)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロRNA / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では我々のもつヒト iPS細胞モデルおよび心疾患動物モデルに対し、miBDVベクターを用いて核内で持続的にmiRNAを発現させることの治療効果を評価し、心臓血管外科手術に伴う虚血再灌流障害に対するmiRNAの治療介入の可能を検証とするとともに、新規遺伝子治療ベクターという技術基盤を確立させることを目的とする。 本年度は虚血再灌流における心筋細胞死に関わるとされる転写因子であるEGR1に着目し、Egr1の発現を抑えることが塩基配列の相補性において期待されるmiRNA-124-3pを用いた実験を実施した。ヒトiPS細胞由来心筋細胞に低酸素培養を加えることで虚血再灌流を模した培養条件を確立し、その際にEgr1の発現上昇が起こることを確認した。RNA干渉によるEgr1の発現抑制により、心筋のアポトーシスが抑えられることを示した。さらに虚血再灌流によりアポトーシスを誘導したヒト心筋細胞に対してmiR-124-3pを投与することにより、Egr1の発現上昇の抑制と、それに伴う心筋細胞のアポトーシス抑制効果を確認した。この研究成果をAmerican Heart Association Scientific Sessions 2023にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト心筋細胞の虚血再灌流障害に関わる重要な転写因子としてのEgr1を同定し、さらに特定のmiRNAを用いたEgr1の発現抑制とアポトーシス抑制を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を受けて、次年度は①効率的なmiRNAの心筋細胞への導入に向けたドラッグデリバリーシステム(DDS)の構築、②確立したDDSの生体における検証のための動物モデルの構築および機能評価系の確立、③さらに効率的にアポトーシスを抑制しうる因子および相補的miRNAの同定、を行う。
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Causes of Carryover |
本年度におけるmiR-124-3pを用いた検証において研究対象群を最適化することで、実験全体のボリュームを減らしたうえで予定した結果を得ることができた。次年度は検討項目をさらに増やして、前年度からの繰り越し分を含めて十分なボリュームの実験を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)