2023 Fiscal Year Research-status Report
人工知能技術を活用した尿路結石の発症予測モデルの構築
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23K08765
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30381867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (00595184)
丸山 美帆子 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (20623903)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
佐々木 勇和 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (40745147)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 尿路結石 / 疫学 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路結石は、遺伝要因に環境要因が加わり発症する多因子疾患であるが、様々なリスク要因をもつ対象者の尿路結石発症予測は困難である。本研究の目的は、機械学習を使用し尿路結石の発症予測や術後再発予測を行うことである。本年度は、一般集団として岐阜県立健康管理院の健診受診者を対象とした将来の尿路結石発症リスクを予測するモデルの開発を推進した。約20,000名の健診受診者データベースを対象に入力変数として、一般の健診項目(身体計測、血液検査、尿検査)、超音波検査、生活習慣に関するアンケート(運動・飲水量・喫煙歴など)を含む400項目の健康診断データを用い、複数の機械学習(XGBoost、LightGBM、RandomForest)と深層学習(Multi-layer Perceptron)を適用した。結果として、Multi-layer Perceptronモデルは、従来の類似研究を上回る予測精度(AUC 0.71)を達成した。また、SHAP値を用いた重要な特徴量としては、上位に血圧やBMI、コレステロール値など生活習慣に関する因子が多く占めており、尿路結石と生活習慣との関連が強く示唆された。本研究で開発された予測モデルは、健診受診者に尿路結石の発症リスクを早期に認識させ、生活習慣を見直す機会をもたらすと期待できる。尿路結石患者の予防は、将来の医療費の削減や医療資源の有効活用にも寄与する可能性がある。また、本研究で使用した手法は、他の生活習慣病に関する予測モデルの開発にも応用可能であり、健診における医療用AI活用の可能性を広げるものと考える。一方で、健診データにはCT画像や24時間蓄尿などの尿路結石特有のデータが不足しているため、他の生活習慣病と比較して予測精度の向上に限界が生じたと思われた。 今後は臨床への活用を見据え、多様なデータを集積、項目の追加を検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健診受診者の利用可能なデータソースに関する収集および検討をおおよそ予定通り実施できた。健診データは、匿名化された膨大なデータであり、機械学習に使用するためにデータクリーニングを行う必要があった。約20,000名の健診受診者データベースのデータクリーニングは手作業では困難であり、データクリーニングのためのプログラムを開発し、活用することで円滑な研究を推進できた。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路結石症の治療方針を決定する上で、自然排石が困難な場合は外科的治療が必要となる。自然排石の予測モデルを構築することで、不要な手術の回避し、医療資源の削減に貢献する可能性、もしくは早期に治療介入できる可能性がある。2つ目の研究として、身体計測、血液検査、尿検査に追加して、CT画像データを深層学習により自動解析することで、尿路結石患者に対して自然排石を予測するモデルの開発を推進していく。
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Causes of Carryover |
本研究では、健診受診者を対象とした将来の尿路結石発症リスクを予測するモデルの開発を進めてきた。結果として、Multi-layer Perceptronモデルは、従来の類似研究を上回る予測精度(AUC 0.71)を達成した。今年度に本研究成果を発表するため、国際・国内学会出張も計画していたが、間に合わなかった。このため次年度使用が生じた。次年度は本研究成果を国内外で発信していきたい。
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