2023 Fiscal Year Research-status Report
骨模倣セメントによる骨再生環境・生体流動マニピュレーションの探索
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23K09233
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 良 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90823211)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工骨 / 骨セメント / アパタイト / 表面開口性 / 流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工骨による骨再生の結果は、そのアーキテクチャ、特に多孔性構造に大きく左右されることで知られる。本研究は、細胞や血液が効率的に交通可能な流動的環境を多孔質人工骨に導入する方法を検討し、その有用性を検証しようとするものである。 本年度はハイブリッド炭酸アパタイト多孔質人工骨を作製し、構造分析を行うことを主目的としていた。 まず、表面開口性・連通性の高い炭酸アパタイト多孔体を作製することを達成した。炭酸アパタイトの前駆体となる顆粒を調製し、それらを界面特異的に結合させる手法によって連通多孔体を作製することができた。次に炭酸・リン酸含有混合粉末をセメント状に調製し、作製した炭酸アパタイト多孔体に塗布することでハイブリッド化を行った。作製したセメントは硬化して炭酸アパタイトに変換する性質を有していたほか、良好な賦形性を示し、内部の連通性を損なうことなく多孔体に薄壁を付与することが可能であった。薄壁付与の条件を様々に変化させ、得られハイブリッド炭酸アパタイトに対し、マイクロCT撮影や水銀圧入法によるポロシメトリーを行った。作製した材料はすべて表面開口性・連通性にすぐれた多孔体であることを確認した。得られた多孔性の構造特性に基づき、3Dモデルを設計・取得した。 これらの構造および3Dモデルの評価として、次年度以降に血流シミュレーションを予定しており、数値計算上の設定やチューニングを行い、実装の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた材料作製や解析を完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた材料に対して、血液流動の流体力学シミュレーションを行う。流速・圧力・壁せん断応力分布や流体の透過率を求める。また、in vivo評価を行い、設計した構造の有用性を主に病理組織学的に評価する。
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Causes of Carryover |
試料作製の検討が想定よりも少ない試行回数で進めることができたため。
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