2023 Fiscal Year Research-status Report
The role of DNA of Periodontal bacterium OMVs in Alzheimer's diseases.
Project/Area Number |
23K09505
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 賀弥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (60363157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (60545143)
尾崎 和美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90214121)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯周病菌 / 細胞外小胞 / アルツハイマー型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、歯周病菌Porphyromonas gingivalis (Pg)が分泌する膜小胞 (Outer membrane vesicles, OMVs) に着目し、歯周病が背景にある認知症の発症・進行機構の解明を目指す。2023年度は、Pg OMVs の生体内動態を追う実験モデルを確立するために、主に以下の実験を行った。 1.Pg OMVs抽出:Pg ATCC33277を嫌気培養して、培養上清を回収した。Total exsosome reagent (サーモフィッシャー社)を用いたポリマー法により、Pg OMVsを抽出した。得られたサンプルに、Pg由来のタンパク質が含まれていることを確認した。Pg OMVsの抽出方法が確立した。 2. モデルマウスの作製:高週齢マウス(C57BL/6J, 52週齢,雌性, ジャクソン・ラボラトリー・ジャパン社)にPg OMVs(5 micro g/匹)を、12週間腹腔内投与してモデルマウスを作製した。脳、肺および肝臓を摘出し、DNAとRNAを回収した。透明標本や凍結切片を作成するために、各臓器を保存した。 3.Pg OMVsが脳へ移行する経路の検討:まず実際にPg OMVsが脳へ移行しているかを検討するために、脳から抽出した全DNA中を鋳型にしてPg特異的なプライマーを用いたPCRを行った。しかし、モデルマウスのどの群からもPg DNAは検出されなかった。次に、マウスにおけるPg OMVsの生体内動態を検出するために、Pg OMVsの蛍光標識を行った。標識部位の違う4種類の蛍光試薬を試験した結果、Pg OMVs含有物を標識するCytoTell Ultra Greenや、二重膜を標識するMemGlow488により、良好にPg OMVsを蛍光標識できる条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルマウス作製や蛍光標識の実験条件を確立できたが、当初の予測に反して、モデルマウスの脳からはPg由来のDNAが検出されなかった。このために、計画していたDNA関連の実験計画を変更する必要が生じた。特に、DNAの検出方法について再考したため、実験の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Pg OMVsが脳へ移行する経路:Pg OMVs をSYTO Tell Ultra Green で蛍光標識し、モデルマウスに尾静脈投与する。マウス脳を摘出し、組織固定後に凍結切片を作製し、共焦点レーザー顕微鏡下で、脳実質の微小血管周辺にPg OMVsが漏出していないか観察する。結果次第では、マウス頭部をホルマリンで固定した後、CUBICシステム(TCI社)を用いて透明化し、Pg OMVsを検出する。 2. Pg OMVsがミクログリア に特異的に取り込まれる機序:モデルマウスの脳を固定・包埋し薄層切片を作製し、ミクログリア特異的マーカーIba1の抗体で蛍光免疫組織染色して、脳に到達したPg OMVs がミクログリアに取り込まれているかを判定する。表面FimAを除去したPg OMVsを、対照マウス脳から分離したミクログリアに添加し、細胞内へ取り込まれるか蛍光顕微鏡下で観察し、FimAの取り込みへの関与を判定する。ミクログリアにCD11bに対するsiRNAを導入して、CD11bの発現を抑制し、Pg OMVsのミクログリアへの取り込みにCD11bが必須であるかを判定する。
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Causes of Carryover |
当初の予測に反して、モデルマウスの脳からはPg由来のDNAが検出されなかったために、計画していたDNA関連の実験計画を変更する必要が生じた。具体的には、検出したDNAについてシークエンスを行う必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。翌年分の研究費と合わせて透明化標本作製に使用する予定である。
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