2023 Fiscal Year Research-status Report
マラリアリスクは血清リポ蛋白によって低下するか?:新規マラリア制御ツールへの展開
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23K09657
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 菜穂子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70327584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井田 孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80260545)
美田 敏宏 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80318013)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マラリア / リポ蛋白 / LDL / HDL / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリアのin vitro培養実験において、血清リポ蛋白がマラリア増殖に与える影響について解析を進めた。これまでに、培養液中のリポ蛋白濃度を低くすると、マラリアの増殖が亢進することを見出していた。加えて、リポ蛋白のうち特にLDLが存在するとマラリア増殖を阻害する効果があること、LDLのうち特に酸化LDLの存在によりその効果は顕著であること、また酸化LDLの増殖阻害効果はHDLの存在による減弱することを見出した(本結果について第93回日本寄生虫学会で報告した)。 また、ウガンダ北部Lacor病院周辺地域で小児(1-5歳)を対象とし約200例の現地住民から血清検体を収集した。採血時にマラリア感染の有無を確認しており、今後血清リポ蛋白を含めた血液生化学検査を行い、解析を進める予定としている。 また、血清収集時にマラリア感染に影響しうる因子(蚊帳の使用、屋内残留殺虫剤噴霧など)、成長発達に影響を及ぼし得る因子(出生経過、発育発達経過、家族生活環境など)を収集している。以後定期的に現地スタッフによる経過観察を継続しており、血清検体収集も定期的に行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたin vitroマラリア培養における検討は予定に沿って進行している。また、計画していたUgandaにおけるField検体収集も計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、In vitro培養系における検討もさらに考察を進めつつ実験を追加検討していく予定で、生体環境に近い条件でのヒトマラリア培養系における解析として、血清リポ蛋白によるマラリア増殖阻害が、脂質代謝に関連する酵素活性が存在する状態でも見られるのかをヒトマラリア培養系で明らかにする予定としている。 また、マウスマラリア感染実験系における解析として、脂質代謝正常マウス及び高脂血症モデルマウスを用いて、正常、軽度及び高度の高脂血症状態を作成し、マウスマラリアの感染実験を行う予定としている。 マラリア流行地であるUgandaにおけるField調査については、現地の感染者、及び非感染者の血清収集を計画し、すでに行っている。今後、収集した血清のデータ検討を進め、リポ蛋白濃度とマラリア感染の関連性について解析を進める予定としている。 同時に、血清サンプルを収集した対象小児の栄養状態を評価するアンケートを行っており、合わせて検討を進めている。
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Causes of Carryover |
血清解析に必要な経費が次年度への持ち越しとなっているため次年度に使用予定となっている。
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