2023 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝の観点から見た、IL-21シグナル制御と生活習慣病進展の関係
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23K10855
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
煙山 紀子 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (50747350)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 生活習慣病 / IL-21R / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-21Rはリンパ球の成熟や自己免疫疾患など免疫機能に関与するとされているが、これまでの研究により、脂質代謝との関連が示唆されている。本年度は、エネルギー代謝関連臓器である肝におけるIL-21Rの(病態)生理学的意義について検討することを目的に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発生への関与を解析した。 申請者がこれまでに開発に関与した可変コリン欠乏メチオニン低減アミノ酸高脂肪食(CDAA-HF)を3ヶ月摂取させ、野生型およびIL-21R欠損マウスにおける各種組織重量、血中パラメーター(血糖値、血中脂質濃度、ALT値等)を測定し、肝臓における組織障害と線維化の程度を評価するために形態学的観察(マクロ、HE染色、特殊染色、免疫染色)を行った。さらに線維化に関連する炎症・酸化ストレスを評価するために炎症関連遺伝子等のmRNA発現の解析を行った。 その結果、IL-21R欠損マウスでは、CDAA-HFの摂取により、野生型と同様に肝脂肪化と血中ALT値の上昇、炎症関連遺伝子発現の増加を示した。一方で、Sirius Red陽性組織、Collagen、活性化星細胞としてのαSMA、細胆管反応としてのSox9・CK19など、肝線維化に関連する項目は野生型と比較して低下を示した。よって、IL-21RはNASHにおける肝線維化に関与することが示唆され、今後、IL-21R欠損マウスにおける肝線維化抑制メカニズムを探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった、IL-21R欠損マウスにおけるNASHの表現型解析がひととおり終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、IL-21RとNASHとの関連については、肝線維化の抑制メカニズムについて、肝星細胞、胆管上皮細胞、免疫系細胞といった非実質細胞の変化を中心に検索していく。 また、IL-21Rはどのように発現制御を受けるかについて、既報に加えて脂質代謝の観点より、過剰発現やノックダウン系を用いて検討を行う。
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Causes of Carryover |
抗体を使用する頻度が少なく、次年度に持ち越しとなったため。
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Research Products
(8 results)