2023 Fiscal Year Research-status Report
What social experiences do wild dolphins have that enable them to survive and successfully rear their young?
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23K11793
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 近畿大学, 農学部, 講師 (40512299)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | イルカ / ハクジラ / 鯨類 / 子育て / 社会行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
伊豆諸島御蔵島のミナミハンドウイルカ個体群において、母親と0歳児の各ペアの水中行動を分析したところ、ペアによって母子間距離に差があることが明らかになった。また、子どもが生まれて早いうちから離れて泳ぐ母親がいることがわかった。これらのことから母親によって子育て行動が異なることが考えられる。今後ペア数を増やして、子の生残と子育て行動のちがいに関連があるかを分析する。繁殖成功例と不成功例をリストアップしたところ、第1子が第2子以降よりも死亡率が高いことがわかった。今後、第1子とそれ以降の子の母子間行動に差異があるかどうか、死亡個体・生存個体と母親との行動に差異があるかどうかを検証する。0歳児は行動の発達が著しいため、月齢によっても母子間行動は変化する。これまで御蔵島では0歳児の生まれ月の情報がほとんどなく、月齢による行動の違いを検証することができなかった。そこでR5年度3月に野外調査を行い、出産が予想されるオトナメスが子を連れているかどうかを確認した。その結果、新生児を連れている個体を1頭、妊娠していると思われる個体を9頭確認できた。加えて、調査に行けない期間に生まれた新生児の情報を把握するため、市民参加型の情報収集を開始した。御蔵島観光協会と連携し、妊娠している個体や新生児を連れている個体を撮影した場合は写真や動画を提供してくれるよう、イルカウォッチング業者に呼びかけた。過去の情報についても同様に情報を募る。今後、妊娠個体と新生児連れ個体の情報を集めたうえで、子の月齢と母子間行動の違いを分析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、母子間の社会行動について分析を進めているが、水中ビデオ映像の分析に多くの時間が必要であり、分析の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
水中ビデオ映像の分析については、個体識別と社会行動の分析経験を持つ者を雇用する。野生個体の出生情報については、観光協会と連携し市民からの情報収集も行うことで野外調査ができない期間の情報を補完する。ビデオデータは、同じフィールドで研究する共同研究者と共有したり、野外調査の期間をより長くとることで、必要な量を得られるよう工夫する。
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Causes of Carryover |
野外調査を3月末に行ったため、R5年度中に旅費を処理することができなかった。R6年度に支出する。物品については選定に時間がかかったため、R5年度に購入できなかった。R6年度に購入する予定である。
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[Presentation] ハクジラ類にみられる胸ビレ前縁部の構造について.2023
Author(s)
酒井麻衣, 稲森大樹, 渡辺友梨絵, 阿久根雄一郎, 小林希実, 比嘉克, 吉澤聡吾, 柏木伸幸, 小木万布, 船坂徳子, 森阪匡通.
Organizer
日本動物行動学会