2024 Fiscal Year Research-status Report
近世前期・中期における武家の文事―鹿島鍋島氏の和漢聯句を中心に―
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23K12079
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| Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
川崎 美穏 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60965010)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 連歌論書 / 和漢聯句 / 仮名書 / 連歌 / 武家 / 連歌師 |
| Outline of Annual Research Achievements |
「近世武家の和漢にわたる〈知〉はどのように文学に摂取・昇華されたのか」を明らかにすべく立案した研究実施計画に基づく成果は次の3点である。 研究実施計画①近世中期の和漢聯句の実態解明の礎となる作品の基礎的整理の1つとして、和句の分析に欠かせない連歌作品のうち未翻刻作品の史的位置付けを行ない、その研究成果を論文「近衛信尹の独吟連歌『三藐院千句』本文と校異」として『国語国文學報』 83号に掲載した。 研究実施計画②和漢聯句を詠作していた参加者の交流の実態を検討し、その研究成果を論文「『紹三問答』再考ー里村昌叱・前田玄以宛三甫書簡を手がかりにー」として『連歌俳諧研究 』148号に掲載した。 研究実施計画③和漢聯句の創作に際し活用された関連学書(「国花集」)を分析し、和漢聯句作品と学書との影響関係の検討を遂行し、その研究成果を論文「和漢聯句における仮名書」 として『日本文学研究ジャーナル』32号(特集 連歌の圏域)に掲載した。 以上の成果は、当初予定していた近世中期の鹿島鍋島氏の地域史にとどまらず、近世初期の和漢聯句の実態と参加者の交友にまで遡るものだが、武家の和漢聯句が文学としてどのように広がり、発展したかを分析する前提となる点で重要である。今後の研究は、上述の研究成果を基に鍋島直條と直郷の作品と記録の分析を行ない、鍋島氏全体の〈知〉の体系化とそれらの文学への摂取・昇華の様相を明らかにすることへと展開させたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、和漢聯句の基礎的整理が終了し、学書と作品との関係を論考にまとめ、『塵袋』の調査も終えて手元に分析データが整った状態であるため。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り推進していくが、『塵袋』の本文分析には予想より時間を要することが判明したため、全貌の解明という目的から、資料の一部の分析にとどまることが予想される。
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| Causes of Carryover |
当初の予定よりも文献調査出張と文献複写、文献他機関取り寄せが多くなり、当該年度の研究費では不足し、次年度の研究費使用の必要が生じたため。
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