2023 Fiscal Year Research-status Report
Integrative analysis of the stochasticity of single-cell omics data for predicting pioneerness of transcription factors
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23K14165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河口 理紗 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (10808851)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | エピゲノム / 一細胞解析 / 機械学習 / 転写制御 / 大規模解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では遺伝子発現パターンを劇的に変動させる鍵因子である転写因子(TF)がDNAへ結合する際に、DNA上のクロマチン状態を無視して強固な結合を可能にするパイオニアネスを、大規模なエピゲノムデータから推定する機械学習モデルを構築する。TFとDNAの物理的な結合様式と、遺伝子発現など様々な細胞状態に依存してパイオニアネスが変化するモデルを組み合わせ、未知のパイオニアTFと制御領域の発見を目指す。 本年度は、大規模なエピゲノムデータの収集とそれらを利用したメタ解析を行っており、パイオニアネスの推定における細胞種の文脈依存的なエピゲノム状態とモチーフ強度の関係性を考慮する重要性を示唆する研究結果が、多能性幹細胞を中心としたモチーフ解析などにより得られている。また、細胞内において相分離などの現象を介した効率的なエピゲノム・転写制御が行われている可能性に着目し、TFの結合するシス制御領域の物理的距離や共起関係と周囲の遺伝子発現情報を統合的に解析し、メカニズムを俯瞰的に理解するモデル構築を目指して研究を進めている。 また、本研究のファウンデーションとなる一細胞レベルでのエピゲノムや発現量の不均一性が、どのようなメカニズムによって引き起こされるかを明らかにする共同研究プロジェクトに取り組み、共同筆頭著者として論文発表を行うとともに、異なる視点からの解析結果に関してもデータをまとめており近日中のプレプリントの発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り、モデルの構築に必須の大規模データセットの収集と、その情報収集手段として国内・国外の学会に参加した。ただし、本年度予定していたデータの収集と前処理作業の補助のための人員の確保は、来年度に繰り越す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も当初の計画通り、モデルの構築に必須の大規模データセットの収集をするため、その情報収集手段として国内・国外の学会に参加する。本年度利用しなかった、データの収集と前処理作業の補助のための人件費・謝金分として計上した予算を、2024年度以降に利用する予定である。 特に本年度の結果をもとに、多能性幹細胞に関する最新の一細胞解析データと、異なる実験手法・オミクスデータに着目し、それらのデータ 収集とモデル拡張を見据えた転写因子の機能解析を進める。 さらに2025年度以降は予定通り、完成したモデルを利用したゲノム領域や遺伝子のアノテーションを再生医療などの応用分野で活用していくため、 国内・国際学会で発表を行う。より具体的に、内部に存在する転写因子結合サイトの機能を変化させるような遺伝子間領域に存在する疾患関連変異に着目し、それによる転写因子の結合変化と結果的に引き起こされるフェノタイプの変動を予測するためのプラットフォームの構築などに取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、データの収集と前処理作業の補助のための人件費・謝金分として計上した予算を利用しなかったため、2024年度以降に繰り越して利用する予定である。またそれに伴い、計算機環境構築についても遅れているため、それらに利用する予定の予算についても次年度以降へ繰り越す予定である。
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