2024 Fiscal Year Research-status Report
信号の低ビット量子化を活用した高速な時間差推定手法の確立
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23K16904
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| Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植野 夏樹 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (00939788)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 信号間時間差推定 / 再配分不等式 |
| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度は本研究課題の中心的なアイデアである、再配分不等式に基づく信号間時間差推定の高速化手法の理論を整理すると共に、代表的な従来手法との比較評価を進めた。 まずは、再配分不等式に基づき、2つの信号の間の相互相関関数のピーク位置が、入力信号を任意に量子化した場合でも不変であることを示した。この命題で必要とされる仮定についても整理し、数学的に厳密な定理として証明と共に記述をまとめた。 次に、前述の定理を基に信号間時間差の高速アルゴリズムを考案した。このアルゴリズムは最終的には2つの整数列の畳み込みの問題に帰着されるため、整数列の高速な畳み込みアルゴリズムについても調査し、ショーンハーゲ・ストラッセン法が有効であることを確認した。提案したアルゴリズムを実装し、代表的な従来手法との比較実験を行った。その結果、特定の信号長の範囲において提案手法が従来手法よりも大幅に計算時間が削減されることを確認した。また、この傾向は理論的に示唆されるものと一致することを確認した。 ここまでの成果をまとめ、国際論文誌であるIEEE Signal Processing Lettersに投稿した。 また、ここまでの成果から、入力信号の量子化スキームの最適化が今後の課題となることが判明したため、今後の研究の準備として、信号の振幅スケールに依存しないような量子化スキームについて検討し、有効性が期待される理論的アイデアをまとめた。このアイデアの有効性については今後の研究の中で評価を行う予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度は研究成果の論文投稿は行えたものの、まだ刊行には至っていないため、成果の公表という観点での進捗状況は計画よりやや遅れていると判断される。しかし、従来手法との比較評価の結果想定よりも大幅な性能向上が確認され、それに伴い研究の応用可能性が広がった点なども含め、今後の研究の準備・事前検討は計画以上に進んだため、総合的にはおおむね順調に進展していると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は2024年度に投稿した研究成果を基に、(1)信号間時間差推定アルゴリズムのさらなる高速化、(2)時間差推定アルゴリズムにおける量子化スキームの最適化に関する研究、(3)再配分不等式に基づく信号間時間差推定理論の一般化、(4)画像処理分野におけるパターンマッチングなどの別分野への応用などを行う予定である。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり、次年度の使用計画について大きな変更はない。
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