2023 Fiscal Year Research-status Report
都市ガスを利用したインライン風車の提案:高圧下での翼列間干渉発生メカニズムの解明
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23K17079
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細谷 拓司 徳島大学, 技術支援部常三島技術部門, 技術員 (80833681)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 周速比 / インライン風車 / 二重反転形羽根車 / 翼列間干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
未利用のエネルギー資源として都市ガスの圧力に注目し,その余剰圧力を利用して発電するインライン風車を提案する。ガス導管内への設置を想定したインライン風車のタービンには,小型でも高性能が期待できる二重反転形羽根車を適用する。しかし,ガス導管内などの高圧条件下で二重反転形羽根車を運転した場合,前段羽根車と後段羽根車の翼列間干渉による性能特性の低下等が懸念される。本年度は配管内に設置した二重反転形インライン風車の周速比に着目し,性能特性および内部流動状態を数値流れ解析により調査を行った。 プロペラ風車に従来の二重反転形羽根車の設計方法を適用し,複数のプロトタイプモデルを設計した。それらのプロトタイプモデルは羽根車外径,Hub比,ソリディティを固定し,設計周速比を3~10の間で振って調査を行った。その結果,設計周速比を大きくすることで,タービン通過時の減圧量(圧力回収量)が増加し,高圧型のインライン風車となり出力が向上していくが,風車効率は低下する傾向が確認できた。高圧型になるほど二重反転形羽根車の翼列間干渉による影響が顕在化することで,性能特性の低下等を懸念していたが,前段羽根車によって発生した速度分布や圧力分布が下流の後段羽根車への流入状態や圧力面・負圧面の形成に与える影響等は見られず,翼列間干渉は確認できなかった。前段羽根車と後段羽根車の間の軸方向距離は,前段羽根車Tip部の翼弦長に対して3.5倍の間隔で固定して調査を行っており,今回の調査範囲においては翼列間干渉の抑制に対して十分な距離であったものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配管内に設置した二重反転形インライン風車において,周速比が性能特性および内部流動状態に及ぼす影響について予定通りに調査を行った。懸念していた二重反転形羽根車の翼列間干渉は確認できなかったが,更なる高圧化のポテンシャルを有するものと判断した。 また,来年度に向けた実験装置の構築についても今年度から取り組んでおり,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに,配管内に設置した二重反転形インライン風車のソリディティに着目して調査を行う。本年度の調査においては,二重反転形羽根車の翼列間干渉は確認できなかった為,本年度に設計したプロトタイプモデルからソリディティを大きくすることで更なる高圧化を進め,翼列間干渉の発生に着目しつつ,性能特性および内部流動状態を確認する。 また,本年度から引き続き実験装置の構築を行いつつ,数値流れ解析にて得られた知見を基に実験用二重反転形羽根車の設計・製作を行う。その羽根車を用いた実験結果と数値流れ解析結果を照らし合わせ,その妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
理由:実験装置の構築に必要な部材が予定より少額で購入できたことや,3月納品で支払いが完了していない物品が存在すること,メーカーの納期遅れにより納品が翌年度にずれ込む等により,次年度使用額が生じた。 使用計画:納品が翌年度にずれ込んだ物品の支払いの他,実験装置の改良に用いる部材の購入や,羽根車の製作費として使用する予定である。
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