2023 Fiscal Year Research-status Report
光・風環境からみた北海道の現代住宅作品における内部空間の開放性
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23K17153
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内藤 誠人 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60911443)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 北海道 / 現代住宅 / 主空間 / 外部空間 / 開口部 / 連続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高気密高断熱化によって可能となった全室暖房によって内部空間の一体性が図られていると考えられ,LDKなどの主空間を中心とした内部空間の形態および窓の位置を平面,断面的に検討しその特徴を明らかにする.という研究計画ⅰ-①に対し,以下の研究を実施した. 北海道内で1990年以降に建てられた住宅作品107件を収集し,作品概要を整理した.面積を最小限に留めた合理的な開口部の配置が求められる現代の北海道の住宅において,サッシやガラスの断熱気密性能の向上を背景に,生活の中心となる主空間と外部空間の活動が開口部によってどのように関係付けられてきたのかを構成的に検討するため,住宅の内部空間の中で,ダイニングやキッチン等,リビングを中心とした一体的な空間を主空間として抽出し,主空間の構成的特徴(平面および断面的配置,吹抜けの有無),主空間における開口部の平面・断面的配置,動線と視線の連続性からみた主要な開口部の形式(窓の大きさと開閉の有無,扉の有無),開口部が面する外部空間の設え(舗装や植栽の有無)を分析した. その結果,近年は外への眺望と出入りが同時に可能な掃き出し窓を有する事例が最も多い一方で90年代には窓と扉に分けられていた事例が散見されること,また,近年では住宅に主空間と外部空間を動線及び視線的に連続的な空間とする指向や,外部空間と動線的に分節しつつも主空間を外部空間的な性格を有する空間とする指向など,時代による傾向の差異と,主空間と外部空間の関係性に対する建築家の異なる指向の一端を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画ⅰ-②(内部空間の形態分析)に想定よりも時間を要したことから研究計画ⅰ-①(データ構築)の実施に遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
ⅰ-①外皮表面積に対する床面積の割合,及び外皮表面積に対する開口率,内部空間の気積などの熱負荷に関わる要因について,定量的に実態を把握する. ⅱ.光・風環境の解析 全事例について,3Dモデルを作成し, ①シミュレーションによって冬期及び夏期における室内の照度変化及び分布を明らかにする.②内部空間を外部に対して最大限に開放することのできる中間期を想定し,敷地周辺における卓越風の風向データを収集し,シミュレーションによって室内における風環境の実態を明らかにする. ⅲ.分析と考察 ①前年度までに得られた結論を統合し,室内における光・風環境を合わせて考察することで,設計者の窓に対する指向性を捉え,現代の北海道における住宅空間における自然環境に対する開放を複合的に考察する.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた機器・ソフトウェアについて,すでに所有しているもので代用できたため,次年度使用額が生じた. 次年度使用計画は,未購入であるwindows PC,風環境シミュレーションソフトの更新費用,論文投稿費及び学会発表のための国内旅費,謝金,消耗品費を予定しており,概ね全額使用予定である.
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