2023 Fiscal Year Research-status Report
水月湖年縞堆積物による過去の太陽スーパーフレアの研究
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23K17694
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 毅 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (20332190)
林田 明 同志社大学, 理工学部, 教授 (30164974)
柴田 一成 同志社大学, 理工学部, 教授 (70144178)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | スーパーフレア / 水月湖 / 花粉 / 炭素14 / 775年 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽で巨大なフレアが発生すると、その影響が地球へ伝わり、人工衛星故障、通信障害、停電などの被害が発生することが知られている。現代社会の発展、とくに宇宙への進出に伴って、太陽ではどこまで巨大なフレアが発生するのか、世界的な関心が高まっている。このような背景のもと、樹木年輪の炭素14分析から過去のスーパーフレア探索が世界中で進められているが、樹木年輪が利用できるのは主にこの完新世に限定され、それを上回る年代の調査が難しい。それに対して、福井県若狭湾沿岸にある三方五湖の一つ水月湖の湖底には、7万年におよぶ年縞堆積物が残されている。本研究は、水月湖堆積物の花粉を用いた炭素14分析から、774~775年の宇宙線イベントを起こしたと考えられるスーパーフレアの証拠再現が可能かどうか検証する。本挑戦的研究が成功すれば、水月湖堆積物を用いた、過去約5万年間のスーパーフレア探索が可能となる。 本年度は、774~775年周辺の水月湖堆積物コアの選定を行った。既存の水月湖の低時間分解能な炭素14データから、774年付近は±34年(2σ)で年代決定されているため、この年代周辺を±8試料ずつ計16試料(つまり約100年分)分析できるよう試料の準備を進めた。まずは、用意した試料の両端の炭素14分析を行うように前処理を実施した。堆積物の花粉の抽出には、立命館大学が堆積物の花粉化石の抽出技術の開発を行った「セルソーター」装置を使用した。堆積物試料の前処理~炭素14分析は、立命館大学による商業サービスの「花粉抽出+炭素14測定」パッケージを利用し、今後順次14C測定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に試料の選定を終え、前処理を順次進めている。現在、東京大学博物館の加速器質量分析装置に前処理済みの試料を送付しており、今後早い段階で炭素14の分析結果を得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在測定を待っている両端試料の炭素14測定結果が得られたら、炭素14年代を確認する。両端試料の年代が問題ないことを確認した後、準備している試料の前処理、炭素14分析を順次進め、774/775年の炭素14スパイクがみられるか確認する。
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Causes of Carryover |
東京大学博物館で予定していた炭素14分析に遅れが生じたため。次年度に、未測定分を測定予定である。
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Research Products
(3 results)