2023 Fiscal Year Research-status Report
学校(園)において活用可能な包括的性教育実践を実現可能にする「教育モデル」の開発
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23K18921
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
吉村 知容 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (00983199)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 包括的性教育 / セクシュアリティ / ジェンダー / 当事者 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
「国際セクシュアリティガイダンス(以下、ガイダンス)」によると、包括的性教育の重要事項の1つに「カリキュラムベースであること」が挙げられている。そこで、ガイダンスの翻訳者の1人である有識者より、本研究における教育モデルの開発に関して指導助言をいただいた。有識者との話し合いを通して、ガイダンスで設定されている8つのキーコンセプトを全て網羅した上で、本研究課題である「包括的性教育実践を実現可能とする「教育モデル」の開発」はかなり広範囲に渡ると判断したため、キーコンセプトのいずれかを焦点化した上で、教育モデルの開発を進める方向性に定まった。また、2023年度より、奈良県教育委員会主催「令和5年度 奈良県「性に関する指導ハンドブック」作成委員会」の委員としてハンドブックの作成に携わるにあたり、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校における、各教科・領域における性に関する指導内容についても検討中であったため、教育モデルの開発に汎用性のある指導内容を精査した。これらを総合的に検討した結果、現行の指導内容は一部のキーコンセプトに偏っていること、特に「セクシュアリティ」「ジェンダー」については未開発であること、またカリキュラムが断続的であることが判明した。 そこで、LGBTQ当事者に依頼し、インタビュー調査を実施した。インタビュー調査データを確認したところ、カリキュラムを基にした教育モデルの開発のみでは、包括的性教育の実現には至らないのではないかと考えたため、インタビュー調査の再依頼を行っている状況である。調査結果については、今年度学会での発表を予定しており、可能であれば研究に協力いただいた関係者を講師に招聘し、シンポジウムを開催する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際セクシュアリティガイダンスの翻訳者である有識者による指導助言を通して、カリキュラムの再確認を行えたと同時に、LGBTQ当事者へのインタビュー調査を実施することができた。今後はインタビューの再調査を実施した上で、より学校現場で実践可能なモデルの一部を開発できると考えているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は再度、LGBTQ当事者等、関係者へのインタビュー調査を実施すると同時に、包括的性教育に携わる関係者とも性教育に関する現行の指導内容の検討を実施した上で、カリキュラムを基にした「包括的性教育実践を実現可能とする「教育モデル」の開発」の提言、及びカリキュラム以外でも実現可能とする指導内容の開発を同時に行う予定である。現段階での課題として、一部の有識者による指導助言に留まっているため、今後はより多彩な分野で研究されている関係者による指導助言を仰いだ上で、総合的に研究を推進することを予定している。 また、ハンドブックの完成予定が令和6年度であるため、教育モデルの開発が進んだ段階で、有識者による指導助言のみならず、全国数か所でシンポジウムを実施する予定をしている。シンポジウムは一部の関係者への周知に留まることが懸念されるため、教育モデルの開発がより多くの学校等に周知できるように各自治体のみならずNPO法人等、広範囲への共有を実施することを計画している。
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Causes of Carryover |
引き続きインタビュー調査や多彩な学会参加等、研究を推進する予定をしている。
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