2023 Fiscal Year Research-status Report
Precise extraction and separation of critical metals based on the unique intermolecular interactions of hydrophobic deep eutectic solvents
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23K19186
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
花田 隆文 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (90982710)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 深共晶溶媒 / レアメタル / 溶媒抽出 / 分子間相互作用 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、疎水性深共晶溶媒のもつ固有の分子間相互作用が、レアメタルの抽出分離挙動に及ぼす影響を系統的に明らかとすることを目的とする。本年度は、ドデカノールまたはドデカン酸を水素結合ドナー(HBD)とし、トリオクチルホスフィンオキシドを水素結合アクセプター(HBA)とする疎水性深共晶溶媒(DES)を調製し、レアメタルの抽出挙動に及ぼす水素結合部位(アルコール or カルボン酸)の影響について検討した。はじめに、HBDまたはHBAをそれぞれ単一で有機溶媒に溶解し、金属の抽出挙動を評価した。HBD化合物単体ではいずれもほとんど金属を抽出しない一方、HBAは金(III)、白金(IV)およびパラジウム(II)をいずれも効率的に抽出可能であり、抽出序列は金>白金>パラジウムとなった。一方、2種類のHBDを用いたDESについて各金属の抽出挙動を検討したところ、ドデカノールを含むDESではTOPO単一系と似た抽出序列を示し、いずれの金属も抽出効率が大幅に改善した。一方で、ドデカン酸を含むDESでは低塩酸濃度条件における各金属の抽出効率が大幅に低下したが、高塩酸濃度条件において白金(IV)とパラジウム(II)の分離効率が大幅に向上することを見出した。核磁気共鳴分光法と赤外分光法に基づきHBD―HBA間の分子間相互作用を評価したところ、ドデカノールと比較してドデカン酸を含むDESではHBDとHBA間により強い水素結合が生じていることが示唆された。疎水性DESのHBD―HBA間の水素結合の強弱に応じてレアメタルの抽出分離挙動が変化することを系統的に明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、疎水性深共晶溶媒のなかで生じている主な分子間相互作用のうち、水素結合の強弱のみが異なる疎水性深共晶溶媒を創製し、レアメタルの抽出分離挙動に及ぼす影響を系統的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、水素結合の相互作用は貴金属の抽出分離挙動に大きな影響を持つことが明らかとなった。続いて、疎水性深共晶溶媒(DES)における疎水部の分子構造が貴金属の抽出分離に及ぼす影響を明らかにしたい。具体的には、水素結合ドナーもしくはアクセプター分子の疎水部のみを飽和アルキル鎖もしくは芳香族置換基等に変化させたDESを新たに調製し、疎水性部の分子構造が貴金属の抽出分離挙動に及ぼす影響を系統的に検討する。
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Causes of Carryover |
理由:本年度後期分析センター利用料の請求が次年度4月であり支払が完了していないため。 使用計画:本年度後期分析センター利用料の支払が次年度4月に完了する予定である。
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