2023 Fiscal Year Research-status Report
ボルネオ島の熱帯雨林において着生植物が果たす生態系エンジニアとしての機能の解明
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23K19385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
駒田 夏生 京都大学, 地球環境学堂, 特定研究員 (40985503)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 東南アジア / 生物多様性 / 多種共存 / 林冠生態系 / シダ植物 / ファシリテーションカスケード / 生態系エンジニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リター(落葉落枝)由来の腐植質を集積し貯留する着生植物種(リター集積種)が、腐植質を貯留することを通して他種の着生植物の定着や生育へ及ぼす影響の解明である。 2023年に4回のマレーシア渡航を行った。マレーシアのサラワク森林局およびサラワク森林公社のスメンゴ事務所にて、これまで得た各着生植物サンプルの種同定とリター集積種であるか否かの分類を行った。後者については、外部形態(枝葉の角度やサイズ・形状)と生態観察情報をもとに区分した。各標本に対して、スキャナを用いた電子化を行った。 また、2016年以降サラワク州のランビルヒルズ国立公園で収集してきたデータをもとに、Manly法による生育場所資源の選択性解析を行った。これにより、非集積型の着生植物種の生息場所を提供しうるリター集積種を特定し、また非集積型の着生植物の種ごとに、腐植質の存在する生育場所への依存度を明らかにすることができた。腐植質への依存度が高い非集積型の着生植物種には、リター集積種が保持する腐植質に特異的に出現するものが見られた。そのような非集積種にとってはリター集積種の存在は重要である可能性が高い。 これらの成果をもとにした投稿論文の原稿を準備した。また、第71回日本生態学会大会のシンポジウムにて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本の種・分類群同定とリター集積様式の区分をサラワク州研究機関にて行った。資源選択性の解析により、非集積種に利用されるリター集積種の特定と、群集を構成する着生植物相の内どれほどの種数の非集積種がリター集積種に依存するかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまで収集した着生植物個体のサイズと個体の成熟段階に関するデータを解析し、非集積種がリター集積種上の腐植質に生育することでどのような影響を受けているかを明らかにする。 観察・解析結果をマレーシア国内外の調査地で得られた結果と比較する。気候や標高、生物地理区の異なる地点間で、群集内におけるリター集積種と非集積種の存在量や腐植質への依存性にどのような変異が見られるかを明らかにすることで、本調査地で見られる着生植物の種間関係の特徴づけを行う。
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Causes of Carryover |
植物サンプルの輸入規制強化により、当初計画していた同位体分析を行うことができなかった。 野外での観察とデータ解析に重点を置いて研究を進めることとし、マレーシアサラワク州および着生植物種間関係の地点比較候補地への渡航費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)