2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K19697
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
日浦 秀暢 九州大学, 大学病院, 医員 (30984075)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 歯 / エナメル芽細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は、隣接する細胞や細胞外からの情報を受け取ることで厳密な分化制御が行われている。細胞外環境からの情報をもとに極性化が行われ、方向性を持った細胞機能を発揮すると考えられるが、極性化を制御する機構は未だ不明な点が多い。そこで本研究では、その分化過程において特徴的な極性化を示す細胞種に着目し、細胞の極性化モデルを用いて網羅的遺伝子解析を行い、極性化に伴い誘導される因子のスクリーニングを行うことで、細胞極性化制御因子の同定を図ることを目的として研究を開始した。 本年度は主に、歯原性上皮細胞をモデルとして、細胞極性化を惹起する3次元培養システムの構築を図った。エナメル芽細胞はその分化過程において、極性化が行われ、方向性を持ったエナメルマトリックスの分泌を行うことが知られている。そこで、これまでに樹立した歯原性上皮細胞株を用いて、細胞の極性化を誘導することとした。基底膜により上下方向が規定されていることが予想されたため、歯の発生時期に発現するlamininをコーティングし、分化誘導を行ったところ、細胞が敷石上に変化し、細胞極性マーカーであるZo-1が頂端側へ配列することを認めた。この結果は、基底膜による一方向の刺激が、細胞の極性の決定に重要な役割を果たしており、細胞分化に影響を与えている可能性を示している。今後は、本モデルを用いて極性化因子のスクリーニングを行い、細胞極性を誘導するシグナル分子の解明を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞の極性化を惹起する培養モデルの構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞極性化を誘導するモデルを用いて、極性化に関わる因子のスクリーニングを図る。スクリーニングした遺伝子を抑制することで、細胞極性における機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は主に、上皮細胞の極性化誘導モデルの作製を行ったが、当初計画にあった網羅的遺伝子解析まで至らず、予算に残金が生じた。次年度の早期に網羅的遺伝子解析を予定しており、研究計画に大きな変更は無い。
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