2022 Fiscal Year Annual Research Report
『瀬戸内海言語図巻』の追跡調査による音声言語地図の作成と言語変容の研究
Project/Area Number |
21H00530
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
友定 賢治 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 名誉教授 (80101632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 美香 別府大学, 文学部, 教授 (00300492)
村上 敬一 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (10305401)
峪口 有香子 四国大学, 地域教育・連携センター, 講師 (10803629)
塩川 奈々美 徳島大学, 高等教育研究センター, 助教 (10882384)
酒井 雅史 甲南女子大学, 文学部, 講師 (20823777)
大西 拓一郎 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (30213797)
脇 忠幸 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (50709805)
灰谷 謙二 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (60279065)
小西 いずみ 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60315736)
又吉 里美 岡山大学, 教育学域, 准教授 (60513364)
白田 理人 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60773306)
小川 俊輔 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (70509158)
岩城 裕之 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (80390441)
有元 光彦 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (90232074)
岸江 信介 奈良大学, 文学部, 教授 (90271460)
中東 靖恵 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (90314658)
森 勇太 関西大学, 文学部, 教授 (90709073)
山本 空 近畿大学工業高等専門学校, 総合システム工学科, 講師 (50964251)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 瀬戸内海言語図巻 / 経年変化 / 言語形成期以後の言語習得 / 音声言語地図 / 言語変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
23年度は、遅れている調査を進め、調査予定地点のデータを収集して、『瀬戸内海言語図巻』追跡調査による言語地図作成に取り掛かる予定であった。しかし、2020年3月以降、新型コロナ感染拡大によりフィールド調査ができない状況は、23年度前半まで続き、調査を本格化できたのは、年度後半期になってからであった。ただし、本研究の調査対象地域は、医療施設が十分でない瀬戸内海島嶼部であり、話者は重症化リスクの高い高齢者で、調査時間は2時間以上かかるという条件のため、対面調査は慎重に行った。23年度末時点で調査済地点は170地点ほどになっている。 そして、この170地点データのデータベース化する作業に取り掛かった。音声言語地図作成のための音声データのデータベース化も本格的に取り掛かり、音声言語地図の試作も始めた。研究発表会は、2023年9月と2024年3月の2回実施、それぞれ研究発表1件、ゲストの講演1件で実施することができた、 本研究は、予定地点の調査が終わり、言語地図を作成しないと、目的である瀬戸内海地域の言語変容を考察するのは難しい。そのため本年度も発表できた成果は限られ、論文1本と、国際学会での招待講演、並びに研究発表会での口頭発表にとどまった。 最終年度となる24年度は、愛媛県大三島での集中調査と、調査空白地点の補充調査を年度前半で実施し、後半では、調査データのデータベース化をすすめ、言語地図、音声言語地図の作成を進める予定である。また、研究発表会は2024年9月と2025年3月の2回実施し、最後の会は、公開で行うつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、『瀬戸内海言語図巻』の追跡調査によって作成する言語地図によって、瀬戸内海地域での言語変化と、方言音声の記録保存を目的とした音声言語地図の作成を目的とするものである。両者とも話者との対面調査が前提であるが、肝心の対面調査が、23年度後半になって、ようやくほぼ以前のようにできるようになった。「やや遅れている」とせざるを得ない最大の理由である。 さらに、本研究は言語地図による言語変化研究であるため、調査地点が均等になるよう事前に調査地点を決めて、当該地点での話者をさがした。しかし、瀬戸内海島嶼部での人口減少は急激に進んでおり、調査予定地点で条件にあう話者がいない地点も少なくない。そのため、調査空白地域が生じてしまい、意図した言語地図の作成が困難なことも、研究を難しくしている理由である。 最終年度の24年度は、前半は、空白地域を中心に調査を実施し、後半はデータベース化を急ぎ、言語地図・音声言語地図の作成に注力して、所期の目的をはたしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、『瀬戸内海言語図巻』の追跡調査によって作成する言語地図によって、瀬戸内海地域での言語変化と、方言音声の記録保存を目的とした音声言語地図の作成を目的とするものである。 23年度前半期までは、コロナ禍のため、対面調査がほぼできず、言語地図としては調査地点が十分でない。そのため、最終年度の24年度は、調査空白地域を埋めるための調査を急ぎ、そして、後半期に、調査データのデータベース化を済ませ、言語地図、音声言語地図の作成に取り掛かる予定である。 ただ、作成した言語地図を利用しての分析が不可欠であるが、そのための時間が確保できない恐れが強い。そのため、せっかくの調査データを生かすためには、次年度以降も継続して分析や考察をすることが必要であると考え、今年度、科研申請を予定している。 分析・考察は、まずは、調査データによる地図を完成させ、個々の地図を、『瀬戸内海言語図巻』のそれと比較すること、ついで、認められる変化が、『瀬戸内海言語図巻』の地図の分布から読み取れるものと、どのような関係にあるかを整理し、①瀬戸内海地域での言語変容、②言語地図の分布解釈理論の蓋然性の二つを明らかにする。 また、音声言語地図による方言の記録・保存をするとともに、『瀬戸内海言語図巻』の少年層話者の追跡調査による結果から、言語形成期以後の言語状況の解明も行う。
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