2021 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic game analysis of international environmental agreements
Project/Area Number |
21H00717
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
西村 和雄 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 特命教授 (60145654)
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
内田 健康 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (80063808)
阪本 浩章 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (80758996)
鈴木 詩衣菜 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (80780121)
和佐 泰明 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (60793560)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際環境協定 / 動学ゲーム / Payoff dominant 均衡 / 区分的に連続な戦略 / 協調ゲーム / Stackelberg ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い、文献を通じて国際環境問題に関する諸条約における交渉過程について調査した。モデル分析とあわせて、以下の3つの発見、進展があった。(1)ヨーロッパの長距離越境待機汚染条約とオゾン層保護に関するウィーン条約に共通する興味深い事象は、いったん汚染規制が合意されると、繰り返しその見直しが行われ、より厳しい規制が合意されることである。気候変動枠組み条約のパリ協定における各国の自発的削減計画(NDCs)についても、2021年のグラスゴーでの締約国会議において、多くの国が当初の削減計画(INDCs)を見直すか見直すことを表明している。多均衡からより望ましい均衡が選びなおされているようにも見える。(2)協調ゲームの payoff dominant 均衡に関するAumann (1990)の主張 (communication は新たな情報をプレイヤーに与えないので、それによって payoff dominant 均衡が選ばれることをプレイヤーは確信できない)が、国際環境交渉においても妥当かを検討した。条約法に関するウィーン条約が発効した条約の拘束力を定める一方で、条約や議定書からの離脱手続きが条文に定められているもの(例えばパリ協定28条)や、決議に従わなないこと(留保)を認めるもの(例えば、ワシントン条約第15条)がある。そして実際に離脱や留保が行われている。(3)非対称ゲームとして非協力動学ゲームを分析することを本研究は課題としている。課題として、非常に多く存在する均衡解をどのように分類し特徴づけるかがある。国際環境問題の交渉について知見を深める中で、envy-free 均衡の着想を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19 パンデミックを原因として、研究打合せを十分に行うことができなかった。また、連続時間ゲームの基礎的な問題として解の存在問題があり、その証明に研究時間を使うことになった。それらの理由により、動学ゲーム に関する理論研究について、よいアイデアを生み出すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に問題があったわけではないため、計画に従い、同時手番非協力動学ゲームでは、payoff dominant 均衡と協力解のvalue function の値の比較、非対称ゲームにおける協力解の概念の提案、メカニズムデザインにおいては、side payment 付き/なしのMarkov Stackelberg 均衡を分析する。
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