2021 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシャルグラフェンを用いた高出力テラヘルツLEDの実現
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21H01394
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永瀬 雅夫 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 教授 (20393762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影島 博之 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (70374072)
大野 恭秀 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (90362623)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グラフェン / SiC / 遠赤外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
大面積単結晶グラフェンを用いた高出力なテラヘルツデバイスの実現を目指して研究を進めている。SiC上グラフェンに対する電流注入により波長(10um)が一定な遠赤外線放射を確認した。通常、観察されるジュール熱による黒体輻射デバイスでは入力パワーに依存して発光波長は変化する。それに対してSiC上グラフェンではパワー変化に対して発光波長が変化しない、遠赤外放射デバイスを実現している。投入可能電力は数Wと大きく、一定波長の遠赤外線放射ダイオードが実現されており、マイルストーンとしては重要である。新たな発光メカニズムにより遠赤外線が放射されている可能性があり、今後、そのメカニズム解明を行う。さらに、波長可変技術を確立し未踏領域であるテラヘルツ光源実現への道筋を拓く努力を行う。 具体的なデバイス構造としてはSiC上グラフェンへの直接的な電流注入が可能な平面型、及び、グラフェンーグラフェン積層接合も2種類のデバイスに関する検討を行っている。SiC上グラフェンへの直接電流注入において放射方向依存性を計測したところ、遠赤外線の放射強度が電流の注入方向と同じである水平方向に強い放射が出ていることが明らかとなった。この成果は遠赤外線の放射メカニズムを考察する上で重要である。また、積層接合デバイスにおいては、特異な非線形特性が得られた。接合部に電圧を印加していくとコンダクタンスが上昇し、最大でon/off比が10^9にも及ぶスイッチング特性を示すことが判った。また、電気特性の解析から接合には非常に大きな電界(>GV/m)が掛かっていることが明らかになった。これは、今後、高電界下でのキャリアの振るまいを考察する上で重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面型デバイスでは、その放射方位依存性を明らかして、放射原理に迫る成果を得た。また、平面型デバイスでも放射波長は電力の投入量によらず一定であることを確認した。得られた成果は国際会議で発表するとともに、論文化を行った。 また、接合型デバイスは非線形特性の詳細を明らかにすることが出来た。接合部への電圧印加に伴いコンダクタンスが大幅に増大しon状態へ至る。on/off比が最大で10^9にも及ぶ可逆的なスイッチング特性があることが判った。 これまで装置の性能の制約により遠赤外線領域までの放射特性しか観測出来なかったが、予定どおり赤外フーリエ変換分光装置(FT-IR)の広帯域化改造を行い、テラヘルツ領域での放射特性取得の準備を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
デバイスの放射特性については、広帯域化の改造を行ったFT-IRによりテラヘルツ領域のスペクトル取得を目指す。 特異な電気特性が明らかとなった積層接合デバイスでは、その特性の発現原理について検討を行う。また、電気特性と赤外線放射特性との相関を明らかにしていく。 平面型デバイスについては、構造が簡便であり取扱が容易であることから、一定波長の遠赤外放射光源として応用技術の探索を行う。また、その放射原理の解明と共に波長変換技術の探索も行う。
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Research Products
(12 results)