2022 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ代謝物の化学標識による時空間メタボローム解析
Project/Area Number |
21H02058
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 朋則 京都大学, 工学研究科, 講師 (10746639)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 代謝物 / ホスファチジルコリン / CRISPRスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は引き続きミトコンドリア内代謝物を標的としたOrganelle-targeting Reactive Molecule (ORM)の開発を行うとともに、脂肪酸を標的としたラベル化手法の開発を進めた。ミトコンドリアはTCA回路、酸化的リン酸化、 脂肪酸ベータ酸化など、様々な代謝を担うオルガネラであり、本手法の有用性を検証する上で適したオルガネラであると言える。ORMのミトコンドリア局在モチーフとして膜電位依存的にミトコンドリアに局在することが知られるローダミン誘導体を採用し、様々な官能基(アミン、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、チオールなど)を有する代謝物の化学標識を実現するために、多様な反応基を連結したORM試薬を合成した。本年度は特に光反応基の検討を進め、ライブイメージングやLC-MS解析によって、 オルガネラターゲッティング能、反応効率、反応選択性等を最適化した。これらと並行して、本年度はオルガネラ内のホスファチジルコリンを選択的に標識する技術を応用してホスファチジルコリンの代謝を制御する遺伝子の網羅的スクリーニングを行い、複数のホスファチジルコリン制御遺伝子を同定することに成功した。特に有望な候補遺伝子に関しては詳細な生化学的・分子生物学的な検証を行った結果、既知のホスファチジルコリン関連遺伝子だけではなく、関連未知の遺伝子が複数同定された。さらに検討を進めた結果、これらはホスファチジルコリンの生合成やオルガネラ輸送に関与することがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ホスファチジルコリン関連遺伝子スクリーニングにおいて、実験系の最適化とファーストスクリーニングが完了し、予想以上の成果が得られた。得られた候補遺伝子のバリデーションの結果、既知の関連遺伝子とともにこれまでホスファチジルコリンとの関連が知られていなかった遺伝子を複数同定することに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はホスファチジルコリン関連遺伝子スクリーニングの研究成果に関して論文化を進めるとともに、オルガネラ特異的な脂肪酸代謝物標識技術の確立を進める。
|
Research Products
(9 results)