2022 Fiscal Year Annual Research Report
自動性能チューニング機能を持つ高性能グラフライブラリの開発
Project/Area Number |
21H03450
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中尾 昌広 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (50582871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 克樹 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40303854)
児玉 祐悦 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 上級技師 (80356998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高性能計算 / グラフアルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルネットワークや創薬などの幅広い分野において、計算機上でデータの関係性をグラフ構造として表現し、それを高速に解析する試みが盛んに行われている。しかしながら、既存研究の多くは特定のグラフや特定の計算機システムを対象としているため、ユーザの性能チューニングの負担が問題となっている。そこで、その負担をなくすため、本研究課題では自動性能チューニング機能を持つグラフライブラリを開発している。
本年(2022年)度は、最先端の幅優先探索アルゴリズムであるHybrid-BFS(Scott Beamer et al. ``Direction-Optimizing Breadth-First Search’’, 2012)に対する自動性能チューニング機能の開発を行った。Hybrid-BFSは2つの幅優先探索アルゴリズムを探索の途中で切り替えることで優れた性能を発揮する。しかし、どのタイミングで切り替えるかについてはヒューリステックであったため、切り替えのタイミングを自動的に決定するアルゴリズムを開発した。そのアルゴリズムを用いることで、既存の論文の方法(経験的に良いとされる切り替えの方法を採用)と比較して、概ね30%の性能向上を達成することを明らかにした。アルゴリズムの工夫点として、少ない試行回数で適切な切り替えのタイミングを発見するため、幅優先探索のテスト実行を本番実行の前に複数回行い、そのテスト実行における最適なタイミングをパラメータ化し、そのパラメータを本番実行に利用することが挙げられる。その自動性能チューニングに要する時間は数十秒程度である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、幅優先探索アルゴリズムに対する自動性能チューニング機能の開発を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度に開発したアルゴリズムを理化学研究所が持つスーパーコンピュータ「富岳」などの大規模並列環境を用いて性能評価する予定である。
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