2021 Fiscal Year Annual Research Report
A research on land-use and land-cover changes over 70 years in the hilly areas in Laos
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21H03698
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中辻 享 甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
鈴木 玲治 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 航空写真 / オルソ補正 / SfM / 土地利用 / 土地被覆 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績として特筆すべきは、広域をカバーする多数の航空写真を短時間でオルソ補正し、地図に重ね合わせる手法を見出したことにある。航空写真は衛星画像の撮影が開始される以前の土地利用・土地被覆の状況を教えてくれる高解像度画像である点で優れている。しかし、広域の土地利用・土地被覆を解明するには多数の航空写真が必要であり、それを一枚ずつオルソ補正するのにかなりの手間と時間を要するという問題があった。オルソ補正というのは、写真を地図と同様の正射投影画像に変換し、座標系に位置付ける作業である。これにより、GISを用いて、集落、焼畑、水田、各植生(草原、叢林、森林)の分布や面積を比較したり、複数の時点の画像を重ね合わせて、その経年変化を明らかにしたりすることができる。 2021年度は研究代表者、研究分担者、研究協力者の参加する研究集会を三回開催し、意見交換を行う中で、ドローンによる撮影画像の3Dモデル化と同じことが、航空写真でもできるか検討することになった。ドローンの専門家である研究協力者がこれを試み、SfM(Structure from Motion)処理により、1959年のラオスの航空写真から3Dモデルの作成とオルソ補正が容易に行えることを明らかにした。2021年11月には、この研究協力者を講師として、1940年代撮影の京都盆地の白黒航空写真を用いて、SfM処理を行う講習会を行った。その結果、科研メンバーの多くがこの手法に通ずることになった。この手法が優れているのは、広域をカバーする航空写真のオルソ補正が容易に、短時間で行え、しかも、その精度が高いことである。 しかし、その後、さまざまな航空写真について、この手法を試みる中で、必ずしも全ての航空写真についてこの方法が適用可能なわけではないという問題点も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、広域をカバーする航空写真を容易にオルソ補正する手法を見出せたのは良いが、実際にそれを用いて研究することができていないため。2022年度は研究代表者を中心に他の研究課題に時間を取られ、十分にこの研究課題に取り組むことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は主に以下の点に取り組み、本研究課題を大きく進捗させる。 (1)すでに手持ちの航空写真・米軍偵察衛星写真に関して、SFM処理による画像のオルソ補正を広域で行う。さまざまな種類の写真に関して、これを適用し、この方法がどれほど可能かを確かめる。(2)オルソ補正を行った写真について、オブジェクトベースの画像解析処理を適用し、画像解析の自動化を試みる。焼畑などの土地利用や休閑林などの植生の画像分類が、これによりどの程度可能かを明らかにする。(3)対象村落で聞き取り調査を行い、(1)と(2)の作業の結果、明らかになった土地利用・土地被覆の変化の原因や変化の実態、その結果について明らかにする。また、過去との比較のために対象村落の現在の植生を明らかにする。(4)(1)から(3)で明らかになった事柄について、学会・研究会で報告するほか、論文の形でまとめる。 また、2023年度は科研メンバーによるオンラインでの研究会を頻繁に開催し、研究内容や現地調査(8-9月および2-3月に共同で行う)に関する意見交換を行う。 なお、研究代表者の中辻のラオスでの現地調査に関しては、中辻の所属する甲南大学文学部とカウンターパートのラオス国立大学林学部との間での学部間協定(MOA: Memorandum of Agreement)が締結されていないことが、ラオス政府側で問題視され、なかなか調査許可が降りない事態となっている。そのため、MOAの締結も早急に進める必要がある。
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Research Products
(17 results)