2022 Fiscal Year Annual Research Report
A research on land-use and land-cover changes over 70 years in the hilly areas in Laos
Project/Area Number |
21H03698
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中辻 享 甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 玲治 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 航空写真 / 米軍偵察衛星写真 / 土地利用 / 土地被覆 / SfM / 焼畑 / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は全世界で20世紀初頭から繰り返し撮影されてきた航空写真の活用可能性を探ること、特に、東南アジアのラオスの山地を対象に、1940年代以降の土地利用・土地被覆を解明するためにそれを活かすことを目的としている。東南アジアの航空写真の活用をはかる際、障害となってきたのは、①航空写真の入手、②航空写真のオルソ幾何補正、③航空写真からの土地利用・土地被覆判読の各段階である。2022年度の繰越金を用いた結果、特に①に関して、大きな進展をみた。 具体的には、ラオス国立地図局において、放置された状態になっていた1982年と1998年の航空写真のフィルムをスキャンすることに関して、同局から許可を得ることができた。問題はラオスまで持ち運ぶことができるような航空写真用のスキャナーを入手することであったが、この点に関しても市販のスキャナーを航空写真用に改造することで、クリアすることができた。 ラオスの例のように、東南アジア各国の地図局で航空写真は活用されることなく、放置されていることが多い。こうした航空写真をいかに研究に使用できる状態にするかという点で、本研究の例は一つの参考になるだろう。 2023年6月には中辻がタイのバンコクで開催された東南アジア地理学会に出席し、「ラオス山村における焼畑と森林の70年間の動態」という演題で英語発表した。特に、対象とした焼畑村落で森林被覆が70年間、大きくは変化していないこと、その背景に住民が独自に保護林を設け、森林の減少を自ら食い止めてきた事実があったことは参加者の注目を集めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東南アジアの航空写真の活用をはかるという目的に対し、ラオスの地図機関で放置されていた航空写真を活用するための道筋をつけることができた。また、スキャンした多数の航空写真を繋ぎ合わせ、座標系に位置付けて、GISで活用するための方法に関しても、道筋が見えてきている。つまり、SfM/MVS(Structure from Motion/Multi-View Stereo)技術を用いれば、多数の航空写真から比較的容易にオルソモザイク画像を作成できることがわかってきた。こうした進捗状況を踏まえての自己評価である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は航空写真から広域のオルソモザイク画像を作成する手順を確立することに力を注ぐ。古い航空写真から広域オルソモザイク画像を作成する試みは日本など先進国の地域を対象になされており、東南アジアではこうした試みは皆無である。一方、ラオスの航空写真はラオスのほか、アメリカ合衆国やフランスにも数多く存在する。本研究では、アメリカで入手した1945年および1959年、ラオスで入手した1989年の航空写真に関して、オルソモザイク画像の作成を試みる。 次に、対象地域でフィールド調査を行う。航空写真で明らかになった過去の土地利用・土地被覆の変化について、人々に聞き取り調査を行うためである。対象地域はこれまで、ラオス北部のルアンパバーン県シェンヌン郡が中心であったが、ボケオ県フエイサイ郡にも対象を広げる予定である。ここは1930年代後半に民族学者が長期間のフィールド調査を行ったところで、彼の著作と、1945年の航空写真から、この時期の土地利用・土地被覆を鮮やかに浮かび上がらせることができるのではないかと考える。 さらに、カンボジアにも対象地域を設けることを考えている。カンボジアに関しても1940年代から1960年代に撮影された航空写真が多数、アメリカに存在するためである。こうした航空写真を用いれば、内戦前の土地利用・土地被覆を詳細に復元することが可能になると考える。
|
Research Products
(2 results)