2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Discretionary Control in Immigration Administration-Toward Overcoming the McLean Case Decision-
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22H00781
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 正直 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい教授 (70190890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
安藤 由香里 富山大学, 教養教育院, 教授 (20608533)
北村 泰三 中央大学, 日本比較法研究所, 客員研究員 (30153133)
菅原 真 南山大学, 法学部, 教授 (30451503)
曽我部 真裕 京都大学, 法学研究科, 教授 (80362549)
松本 裕子 (小坂田裕子) 中央大学, 法務研究科, 教授 (90550731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マクリーン事件判決 / 入管行政の裁量統制 / 入管行政に関する人権条約機関の動向 / 入管行政に関する国内の裁判例の動向 / 入管行政に関する比較法的検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を実施するにあたっては、主に2つの方法によっている。第1は、研究代表者、研究分担者及び研究協力者(「科研構成員」)が各自の研究課題を検討すること、第2は、科研構成員により構成される「マクリーン研究会」を開催し、この研究会における報告及び質疑応答を通じて、最新の知見を共有することである。なお、この研究会には、科研研究者のみならず、関心ある外部の研究者・大学院生にも開放している(科研構成員の推薦を条件とする)。 第1点については、国際法研究者は、主として、入管行政に関わる人権条約(自由権規約や拷問等禁止条約、ヨーロッパ人権条約など)、特にその実施機関の実行の検討を中心に検討をすすめた。また、憲法研究者は、その関心に従い、マクリーン事件判決及びそれを先例とするその後の裁判例を検討し、これをまとめることや、入管行政の裁量統制に関する理論的研究を行ってきている。 第2点については次のような研究会を開催した。①6月12日根岸陽太(西南学院大学准教授)「出入国在留権限と慣習国際法-信念体系とその脱学習」 ②10月22日小坂田裕子「判例紹介 ヨーロッパ人権裁判所、Shiksaitov対スロバキア(2020年12月10日)」 興津征雄(神戸大学教授)「行政法から見た難民認定手続」 ③菅原真(南山大学教授)「マクリーン事件最高裁判決の『権利性質説』とその後の展開」@名古屋大学
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究参加者は、引き続き各自の研究課題の検討を続けている。国際法学の立場からの研究では、主として、入管収容及び退去強制の執行基準に着目して、自由権規約や拷問等禁止条約、欧州人権条約、EU法などの実行、特に実施機関のそれを分析を行っている。また、憲法学の立場からの研究では、マクリーン事件判決及びそれを先例とするその後の憲法判例の網羅的な調査や、憲法学における裁量統制に関する諸理論の検討・整理をすすめている。 以上の検討について、定期的に研究会方式で研究成果を報告し、議論をしつつ、国際法学と憲法学の研究成果を突き合わせ、融合をめざしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、国際法研究者と憲法研究者との相互対話を通じて、両者の融合を図ることを目的としている。この目的は、今後も引き続き追求していくことになる。国際法研究者にあっては、昨年度に引き続き、主として、入管収容や退去強制の執行基準に関して、自由権規約や拷問等禁止条約、欧州人権条約、EU法などの実行、特に実施機関のそれを分析を継続する。憲法学の立場からの研究では、第1に、権利性質説の基礎付け及び内容の再検討、及び出入国管理における国家主権の優位する領域と権利性質説が妥当する領域との調整の在り方についてさらに検討をさらにすすめる。第2に、マクリーン事件判決及びそれを先例とするその後の憲法判例の網羅的な調査を継続する。第3に、憲法学における裁量統制に関する諸理論の検討・整理をすすめる。第4に、入管法に基づく収容関係における基本権保障のあり方についても検討を継続する。第5に、入管行政における基本権保障を具体化するためには、それを担保する仕組み(司法審査又はその代替となる審査制度)が不可欠であることから、比較法的検討も行う予定である。 なお、来年度においては、どのような形で研究成果をとりまとめるのかも、あわせて検討し、できれば、出版の道を模索することになる。
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Research Products
(10 results)