2023 Fiscal Year Annual Research Report
Systematization Study of Terminology and Methodology of Subject Education - For the Construction of Academic Community
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22H01012
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草原 和博 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40294269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡出 美則 日本体育大学, スポーツ文化学部, 教授 (60169125)
影山 和也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60432283)
松浦 拓也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (40379863)
木下 博義 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20556469)
中村 大輝 宮崎大学, 教育学部, 講師 (90839094)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教科教育学 / メソドロジー / ターミノロジー / 学術共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,第1期:データベースの構築(2022年4月~2023年3月),第2期:ターミノロジー・メソドロジーの探究(2023年4月~2024年3月),第3期:書籍編纂・国際交流期(2024年4月~2025年3月)の3期に分けて遂行する。本年度は第2期に位置づくものである。第2期は,以下の3項目を実施した。 第1に,各学協会で過去10年程度に発表された学会誌掲載論文を,共通のフレームワークで分析できた点である。具体的には研究の目的と方法,それぞれに注目した分析を行い,傾向性を描き出すことができた。各学協会及び教科によって,①親学問の学術的特性の受容,②政策動向や政策概念の影響,③基盤となっている研究規範,これらに違いがあることが明らかとなった。 第2に,教科横断的に教科教育学研究の組織化を図っている海外の機関を訪問し,学術共同体構築の背景を調査できた点である。今年度は,①ドイツ語圏の各科教授学者が学協会の垣根を越えて議論するために結成した一般教科教授学(General Subject Didactics)学会,②各科教授学者が専門教科を越えて教師教育で連携するために組織されたウィーン大学教師教育センター(Subject-Specific Didactic Centres)の取組を調査できた。 第3に,第4回教科教育学コンソーシアムシンポジウム「教科教育学研究のメソドロジー-私たちは何のために何をどのように研究しているか-」を開催できた点である。具体的には,第1の成果の中間報告を行うとともに,第2の成果で記載した2団体の関係者(①Helmut Johannes Vollmer(オスナブリュック大学名誉教授),②Martin Rothgangel(ウィーン大学教授教師教育センター長))を招聘し,基調講演をいただくことができた。また方法論の中間報告について意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究が当初の計画以上に進展している理由は,以下の4点である。 第1に,毎年定期的に教科教育学コンソーシアムの年次シンポジウムで成果を報告できていることである。ほぼすべての教科(の研究雑誌)の動向をレビューした上で各教科の教科教育学研究のメソドロジーの特質を,とくに教科間での方法論の捉え方の差異・類似を明らかにできた点は,特筆に値する。 第2に,毎年定期的に教科教育学コンソーシアム雑誌に成果を投稿できている点である。研究推進委員会を中心に本年度は5回の研究会議を開催するとともに,昨年度の成果を集約した上で特定用語のターミノロジーの考察を,とくに「批判」「探究」「理解」等に関する定義の違いを整理し,論文2本まとめることができたのは,特筆に値する。 第3に,ドイツの一般教科教授学会の学会誌RISTALに,日本の教科教育学に関する記念号を企画していただけた点である。教科教育学の国際対話の成果が実質化し,本科研の成果をベースに5本程度の論文を寄稿できる見通しが立ったこと,すなわち本科研の成果を国際的な共同研究に発展させる見通しが得られたことは,特筆に値する(研究計画の立案時は,この水準の成果は科研終了後の3年程度で実現できるとよいと考えていた。しかし科研の期間中に実現できることは,期待を超える成果と言ってもよい)。 第4に,定期的に研究会議を開催することで,本科研の目的の1つでもあった「異なる教科の研究者間に学術共同体としての共同意識と共通言語を養う」ことができつつある点である。加盟学協会に共通の問題意識を軸に教科をメタ的に考察するシンポジウムを開催したり,複数教科の研究者間で研究論文を共同執筆できていることは,特筆に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本科研の推進方策は,以下の5点である。 第1に,国際連携の強化である。ドイツの一般教科教授学(General Subject Didactics)の学会誌RISTALに,本科研の成果(具体的には日本の教科教育学の歴史と教員養成の動向,ならびに日本の各個別教科の教科教育学が確立してきたターミノロジーとメソドロジーの特質と異同)について寄稿し,国際共著論文に発展させる。 第2に,研究成果の出版である。3年間の科研の成果をまとめ,『教科教育学研究ハンドブック』にまとめる。また科研メンバーの寄稿を求め,出版の見通しを立てる。 第3に,上の1と2を実現するために,研究会議を2カ月に1度のペース(2024年5月,7月,9月,11月,1月)で対面で実施し,論文投稿に向けた内容の検討,ならびに書籍出版に向けた章立ての確定と原稿の読み合わせを行う。並行して出版社との調整を行う。 第4に,シンポジウムの開催である。2025年3月に開催する教科教育学コンソーシアムのシンポジウムで科研の最終成果報告を行い,広く本成果を社会に発信する。また国立教育政策所の調査研究に本成果を活かすことも検討する。 第5に,ドイツの一般教科教授学会が刊行した専門書(英文)の翻訳である。若手の研究協力者を中心に翻訳を進め,それを基盤に教科教育学の国際連携と国際比較の研究を進めていく。とくに国家別・地域別に独自に進展してきた教科教育学の理念と社会的責任等の比較考察を進めていく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] 1977年-2020年の『科学教育研究』のテーマと方法に関する研究動向2023
Author(s)
荒谷航平, 雲財寛, 大谷洋貴, 小川博士, 川﨑弘作, 下平剛司, 田中秀志, 中村大輝, 長沼祥太郎, 岡部舞, 藤原聖輝, 三浦広大, 渡辺理文
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Journal Title
科学教育研究
Volume: 47(4)
Pages: 423-438
DOI
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