2022 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物クラスターを触媒とした惑星系形成環境でのC1化学
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22H01288
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒川 雅 九州大学, 理学研究院, 助教 (10610264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順司 九州大学, 理学研究院, 教授 (60378536)
寺嵜 亨 九州大学, 理学研究院, 教授 (60222147)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | C1化学 / 反応素過程 / 鉱物クラスター / 火星大気 / メタン活性化 / 惑星系形成領域 / 脱水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星系形成領域での化学過程に加え、火星大気中での化学過程、特にメタンの急速な消失過程の解明を目的とし、C1化学の中でも酸化鉄クラスター正イオンとメタン分子との反応に着目して、特に室温での反応を観測した。通常のメタン分子CH4に加えて、重水素置換体CD4でも実験を行った 。ここで、生成・サイズを選別した酸化鉄クラスターFenOm^+には、微量のアルゴン付加クラスターFe(n-1)O(m+1)Ar^+が含まれていた。反応性が低かったため、生成物の計測感度を高める様々な工夫を施すことにより、生成物を観測した。精密な分析から、主に、メタン分子の吸着が起こり、それに引き続いて脱水素反応が進行することを観測した。クラスターのサイズ・組成に依存した反応性の変化を捉え、メタン吸着および脱水素反応の速度を見積もった。ここで、クラスターに他の分子を予め吸着させておくことで、メタンの吸着と脱水素反応が促進されることを見出した。探査車による火星大気中での観測結果と照らし合わせ、メタンの急速な消失過程における酸化鉄微粒子・クラスターの役割を検討している。また、反応のメカニズムを調べるため、量子化学計算を用い、酸化鉄クラスターとメタン吸着物の構造最適化計算を進めている。 さらに、酸化鉄クラスターだけでなく、珪酸塩クラスターやアルミナクラスターの生成とサイズ・組成分析を行うとともに、反応の活性化エネルギーを測定するための装置の改良の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化鉄クラスター正イオンとメタン分子との反応実験を推進し、火星大気中での化学過程に迫る成果を得た。また、装置改良の準備も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
メタンの吸着および脱水素反応の速度のサイズ・組成依存性を詳しく解析し、火星大気中メタンの急速な消失を説明し得るかを検討する。また、改良を行った装置を用い、酸化鉄を含め、様々な鉱物クラスターを触媒としたC1化学を推進する。
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