2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fundamental technology for high load operation of high temperature superconducting conductors
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22H02021
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 昌睦 福岡工業大学, 工学部, 教授 (80346824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 亮 九州大学, 工学研究院, 教授 (70415941)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 超伝導 / 高温超伝導線材 / 臨界電流 / 導体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温超伝導線材素線と安定化材や接合材料として用いられる金属とから成る複合導体を作製し、電流導入部との接続面から超伝導線材内部へと電流が侵入する振る舞いと各部の電圧状態を通電法による実験と有限要素法による数値解析により明らかとした。その後、複数枚の高温超伝導線材を貼り合せた複合導体の製作と試験、数値解析を行った。薄膜の積層構造となっている希土類系高温超伝導線材では、数マイクロメートル程度の厚みの超伝導膜を絶縁体である中間配向層と金属の表面安定化層とで挟む構造となっていることから、接続面の向きにより電流流入に要する距離が変化することとなる。接続面を変えた2枚複合導体による実験を行ったところ、いずれの場合も基準電界を超える高電界状態では各超伝導線材の素線における臨界電流の積算値に相当する電流値まで耐えられるものの、基準電界以下の低電界領域を精密測定すると、絶縁中間層を線材間に配置する構成においては50%程度の負荷率で微小電界が発生する様子が確認された。一方、Agシースに囲まれた多芯フィラメント構造を有するビスマス系高温超伝導線材の6枚積層導体において同様の計測を行った場合においても、類似の微小電界の発生が確認された。この場合、導体内に絶縁材料は存在していないものの接合条件により電圧状態が大きく異なることを40本以上の導体製作・試験を通じて明らかとした。 また、希土類系高温超伝導線材の幅方向端部に存在するマイクロクラックが機械的性能低下の主要因となり得るかを明らかとするため、ねじり試験を実施した。臨界電流値が初期値の40%程度まで低下した線材内部を走査型電子顕微鏡で調べたところ、微小なクラックや剥離が結合するかたちで線材幅方向の有効断面積を低下させていること、それらの欠陥は線材製造時に形成されているマイクロクラックを起因とするものではないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた実施項目についてはおおむね完了させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、通常の試験では観測が困難な微小電界が複合導体内の超伝導線材間で発生していることを実験及び有限要素法による数値解析により明らかとした。この微小電界は局所的な発熱が生じていること、その結果、複合導体を低負荷率で運用せざるを得なくなることを意味していることから、その低減法を電気的等価回路モデルによる理論解析と有限要素法による数値解析により検討する。また、その検討結果を反映したモデル導体を作製し、通電試験による検証を行う。 上記の他、(1)線材内部の局所的なクラック等の欠陥が電流の分流及び発熱に与える影響の実験による検証や、(2)複合導体の機械的特性評価をねじり特性を中心に調査し導体構造の提案に反映させることにも取り組む。
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Research Products
(16 results)