2023 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis and properties for new insulateing chiral magnets
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22H02053
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 克也 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (40265731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キラル磁性 / 分子磁性 / 絶縁体磁性体 / 高次元キラル磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在数種類の3次元キラル磁性体が知られている。しかし知られているキラル磁性体のほとんどが金属的伝導性を持っており、観測されたスキルミオンなどのセミマクロ磁気テクスチャーは、伝導電子の影響を受けている。そのため、本来の構造とは異なる構造が現在観測されている。しかしながら金属的磁性体の磁気テクスチャは、透過型電子顕微鏡を用いて磁気構造測定ができる利点がある。キラルな効果による磁気構造の真の姿を観測するためには、金属ではない絶縁性のキラル磁性体で磁気構造を調べる必要がある。その場合、透過型電子顕微鏡による磁気構造測定ができなくなるが、最近の光学測定の進歩により、光学測定による磁気構造解析も可能となってきている。また、晶系の次元性の制御も必要となるため、これまで合成は困難であった。しかし最近キラル磁性体のキラル次元性の制御の可能性がある遷移金属ギ酸塩とアルカリ金属ギ酸塩の複塩を見出した。本研究テーマでは、絶縁体キラル磁性体の合成を目指して研究を進めた結果、遷移金属ギ酸塩とアルカリ金属ギ酸塩の複塩で遷移金属イオンとアルカリ金属イオンのイオンサイズ比を調整することにより、単斜晶系から立方晶系まで制御することに成功した。目標である三次元絶縁体キラル磁性体3種類の合成に成功し、磁気測定、中性子線回折、Muon測定を実施した。その結果、長距離磁気秩序は0.7Kまで見られず、反強磁性的相互作用を持つ三次元キラル常磁性体であった。今後、さらに低温での磁気測定を進めるとともに、圧力下測定を行い、磁気相転移温度を上げる試みを行う。また金属の組み合わせを変えて新しいキラル磁性体の合成を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本計画計画では、高次元絶縁体キラル磁性体の合成と設計指針を得ることを目的としていた。すでに高次元絶縁体キラル磁性体の合成に成功し、磁気構造解析のフェーズまで進めている。合成と設計指針に関しては、すでに論文作成済みであり、投稿準備が出来つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた3種類の3次元絶縁体キラル磁性体では長距離秩序は0.7K以上では見られていない。今後磁性イオンの置換を行い、長距離秩序を目指す。
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Research Products
(8 results)