2022 Fiscal Year Annual Research Report
真核微生物細胞壁の完全なαグルカン合成に必須なアミラーゼホモログの特異性解析
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22H02244
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹川 薫 九州大学, 農学研究院, 教授 (50197282)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分裂酵母 / アミラーゼホモログ / GPI-アンカータンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
酵母や糸状菌の真核微生物の細胞壁はグルカン・キチン等が主な成分である。これらの構成成分が環境ストレスから細胞を保護する。真核微生物にはβ-グルカン以外にα-グルカンを持つものも多い。これまでα-グルカンの合成はα-グルカン合成酵素(Agsファミリー)のみで完成する と考えられてきた。α-グルカンを持つ真核微生物には機能未知のGPI-アンカードメインを持つアミラーゼホモログ遺伝子がゲノム中に存在す る。分裂酵母も細胞壁にα-グルカンを有し、アミラーゼホモログ(aah1-aah7)遺伝子が存在する。本研究では、α-グルカン合成酵素とGPI-アンカー型アミラーゼホモログとの協調作用による、分裂酵母のα-グルカン生合成の全プロセスを明らかにすることを目的とする。 今年度は細胞質局在アミラーゼホモログAah7とAah6の機能解析を行った。分裂酵母ゲノム中には、シグナルペプチドを持たないアミラーゼホモログAah6, Aah7が存在する。これまでの申請者らの研究で、aah6とaah7遺伝子の単独破壊株は、調べた限り野生株と異なる表現型を見出せていなかった。そこでaah6aah7二重破壊株を取得したところ、細胞形態異常など多数の表現型を示すことを見出した。またAah6とAah7のアミラーゼ活性に重要なアミノ酸を変異させた変異体は、二重破壊株の表現型を相補できなかった。そのため、両タンパク質の酵素活性が重要な役割を果たしていることがわかった。大腸菌で発現・精製したAah6とAah7タンパク質とマルトオリゴ糖を反応させたところ、反応後にマルトース二糖が生成していることをTLC分析により確認できた。この結果からAah6とAah7は細胞質でマルトオリゴ糖を分解することにより、分裂酵母の細胞形態維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母ゲノム中に7遺伝子存在するアミラーゼホモログのうち、aah3遺伝子破壊株は単独で、また今年度aah6aah7二重破壊株も細胞形態に異常があることを明らかにできた。これまでaah6とaah7遺伝子の単独破壊では野生株と異なる表現型は見出せなかったので、非常に興味深い結果であると考えている。さらに大腸菌で発現したAahタンパク質の酵素活性についても確認できている。今後はこれらの酵素活性が、どのように分裂酵母の細胞壁アルファグルカンの合成に関わっているのかを明らかにしていきたい。また既に報告したaah3破壊株の表現型とaah6aah7二重破壊株の表現型を比較することにより、細胞質と細胞表層におけるアミラーゼホモログの機能の解明を試みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で最も重要な点は、各Aahタンパク質の酵素活性がどのように分裂酵母の細胞壁合成に関与しているのかを明らかにできるのかということである。分裂酵母ゲノムを探索したところ、分裂酵母には他の酵母で合成されるグリコーゲンの生合成に関わる遺伝子群が存在しないことがわかった。それではAah6, Aah7タンパク質の基質が分裂酵母細胞質内に存在するかが不明である。そこで今後は分裂酵母細胞質のメタボローム解析などを実施することにより、Aahタンパク質の真の基質を同定することを目指していきたい。
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Research Products
(2 results)