2022 Fiscal Year Annual Research Report
雑草性関連遺伝子群を総合的かつ定量的に評価できる雑草性レベルメーター系統の開発
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22H02345
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 俊二 京都大学, 農学研究科, 教授 (50370581)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 雑草性 / 雑草性遺伝子 / アサガオ / アメリカアサガオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は雑草性レベルメーター系統作出のための世代促進技術の開発を行った。交配に必要な種子数を確保するため、1個体当たり10個以上の花をつける条件で、4ヶ月で1世代を回す技術の開発を試みた。第1期は野外試験で行い、アメリカアサガオおよびアサガオともに短日処理を行うことで、両種の開花期が重なるタイミングで1個体あたり10個を大きく上回る花数をつけることに成功した。第2期および第3期は人工気象器を用いて栽培初期から短日条件で栽培し、開花期間および花数の調査を行った。その結果、両種間で開花ピークが概ね重なっていること、花数は1個体当たり10個を大きく上回っていた。これらの結果から、目標とする1個体あたり10個以上の花をつける条件で、4ヶ月で1世代を回す世代促進技術の開発に成功した。 雑草性レベルメーター系統が作出された際に、その実用性評価に用いるSNPsマーカーを開発するため、すでに解読されているI. nil(東京古型標準型(Q1065))の全ゲノム配列(Asagao_1.1)をリファレンス配列としてI. hederacea(農研機構WH03-IH)をリシーケンスし、両種間の多型の検出を行った。I. hederaceaについては3個体での平均リード数が220,305,648、シーケンスされた平均塩基数は33,046Mbpとなり、I. nilの全ゲノム塩基数を750Mbpとすると平均カバレッジ数は44となり、目標の20を上回った。Asagao_1.1にマッピングされたリード数は3個体の平均で207.7Mリードとなり、マッピング率は平均99.07%となった。リファレンス配列に対して、バックグラウンド除去のため用いたI. nilサンプルで配列が一致しI. hederaceaでホモで多型の見られたサイトを集計すると、SNPsが4,609,587箇所、indelが196,147箇所となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間全体の交配計画を実現するための世代促進の手法を確立することができたことから、次年度以降の交配計画を予定通り実施できる見込みとなった。また、I. nilの近縁種であるものの別種であるI. hederaceaの全ゲノムシーケンスのマッピングについては、予想よりも適合性が高く、平均マッピング率が99.07%を達成できたことから、最終的な雑草性レベルメーター系統を作出した際に用いるゲノムワイドな雑草性関連形質について遺伝子レベルで評価できる見込みが得られた。これらのことから、順調に研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度確立した世代促進技術によって交配計画を予定通り開始する。また、雑草性を評価するための栽培試験を開始し、雑草性に関連する形質の定量的評価を行う。また、本年度の多型データに基づいて、15対の染色体上に座乗するSNPsあるいはindelのサイトについて、染色体あたり10箇所程度のCAPSマーカーの作出を行う。 なお、交配に関しては、先行研究で7%程度と低い交雑成功率を裏付ける結果が本年度の予備実験で得られていることから、低い成功率の元でも十分な種子が得られるようにするため、当初計画より多い交配を行うこととする。またそれと同時に、除雄方法や受粉方法さらに防虫方法などについても工夫を加え、できるだけ効率よく交雑個体が得られる方法について検討を進める。
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