2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02377
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
庄子 康 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60399988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 哲也 北海道大学, 農学研究院, 教授 (30261332)
栗山 浩一 京都大学, 農学研究科, 教授 (50261334)
柘植 隆宏 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70363778)
久保 雄広 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (80761064)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID-19 / 自然地域 / ビックデータ / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、COVID-19の流行で森林を中心とした自然地域(森林・自然公園・都市緑地・農山村など)への人々の訪問行動がどう変化したのかを明らかにするとともに、自然地域への訪問にあたり、感染拡大防止や満足度の観点から利用者がどのような利用ルールを求めているのかを明らかにし、安全で地域社会にとって持続可能な自然地域の利用モデルを構築することである。具体的には、1)COVID-19の流行で、森林を中心とした自然地域への人々の訪問行動がどう変化したのかを明らかにするとともに、2)自然地域への訪問にあたり、感染拡大防止や満足度の観点から利用者がどのような利用ルールを求めているのかを明らかにし、3)安全で地域社会にとって持続可能な自然地域の利用モデルを構築することである。主軸とする手法はCOVID-19の流行前・流行後のビックデータとアンケート調査データの解析である。1)については、au契約者の位置情報を扱えるKDDI Location Analyzerを用い、自然地域でどんな利用の変化が起きたのかを洗い出して全体像を把握した。例えば都市緑地における変化については、都市緑地を都市公園と都市周辺の森林地域に分けて変化をみたところ、前者ではCOVID-19による厳しい規制が導入された2020年では利用者数が減少した一方、後者では増加したこと、2021年にはそれが逆転して元に戻ったこと、都市公園では遠方からの利用者が減少し、近隣住民の繰り返しの訪問が増え、訪問数自体はCOVID-19流行前よりも増加したことなどを明らかにした。これらの知見は学術論文として取りまとめて投稿を行い国際誌に掲載された。2)については、知床国立公園や大雪山国立公園、中部山岳国立公園などでアンケート調査などを実施した。3)については今後の研究成果を踏まえて取りまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的のうち主に進捗のあった項目、1)COVID-19の流行で、森林を中心とした自然地域への人々の訪問行動がどう変化したのかを明らかにするとともに、2)自然地域への訪問にあたり、感染拡大防止や満足度の観点から利用者がどのような利用ルールを求めているのかを明らかにするについて整理する。はじめに2022年度のCOVID-19の感染拡大の状況を整理すると、前年度から続いている第6波について収束が見通せないものの、約2年前の最初の流行以来行われていた行動制限が解除され、ゴールデンウィークの人出は前年と比較して大きく改善した。一方、第6波が収まらない状況で第7派が始まり、夏から秋にかけては一日の感染者数は過去最高を記録した。さらに年末にかけて始まった第8波は感染者数こそ最大ではなかったものの一日の死者数は過去最大となった。このような中で、ビックデータによる解析については、社会情勢によらず調査を実施できたため、行動制限が解除されるという新しい社会情勢の下での自然地域の利用変化を明らかにすることができた。例えば特定の都市公園では、新型コロナウイルス感染症流行前よりも利用数は増加していたが、その傾向は継続していたことを明らかにした。一方、アンケート調査については、上記のように行動制限は解除されたものの、感染者数や死者数が過去最高を記録しており、特に12月に実施を予定していたWEBアンケート調査については対象者の確保などを理由として次年度実施に延期せざるを得ない状況となった。全般的には順調に進展しているが、WEBアンケート調査が実施できなかったことから進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の、1)COVID-19の流行で森林を中心とした自然地域への人々の訪問行動がどう変化したのかを明らかにするについては、引き続きau契約者の位置情報を扱えるKDDI Location Analyzerを用い、森林・自然公園・都市緑地・農山村など森林を中心とした様々な自然地域でどんな利用の変化が起きたのかを明らかにしたい。マクロスケールでは、端点解モデルなどを用いて利用者が目的地選択・訪問回数を変化させたのかを明らかにすることも目的としており、現在は国立公園の目的地選択に関して、過去に取得したデータに基づいてモデルの構築を進めており、この点についても引き続き作業進める予定である。端点解モデルを用いることで、利用者は訪問を控えたのか、遠くの目的地を回避して近くの目的地に変更したのかといったことを明らかにできることが期待される。また得られたモデルを用いて、ある目的地が感染拡大防止のために閉鎖される影響や、新しい利用ルール(例えば、利用者数の制限)の影響をシミュレーションから予測できるようなシナリオ分析についても検討したい。2)自然地域への訪問にあたり、感染拡大防止や満足度の観点から利用者がどのような利用ルールを求めているのかを明らかにするについては、現地アンケート調査については概ね予定通り実施でき、それらの成果については学会において発表することができたが、延期にせざるを得なかったWEBアンケート調査については次年度実施を行い、次年度中に本年度行う予定であった内容を実施したいと考えている。
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