2023 Fiscal Year Annual Research Report
リグニンの分子構造が特異なクワの変異体を用いたゲノム編集樹木の有用性の実践的検証
Project/Area Number |
22H02402
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梶田 真也 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40323753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神代 圭輔 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00548448)
船田 良 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20192734)
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20734221)
古田 裕三 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60343406)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リグニン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、リグニンモノマー(モノリグノール)生合成の最終段階に関わるCAD遺伝子の機能を欠失したクワの自然突然変異体を用いた研究を行った。変異遺伝子をホモで持つ赤材桑を種子親(cad/cad)に、赤材桑と「国桑第21号」との人工交配に由来するF1のNo. 8株(CAD/cad)を花粉親にして行った交配から得られた戻し交配系統であるヘテロ欠損型CAD/cad個体とホモ欠損型cad/cad個体を用いて、遺伝子型の違いがリグニン構造に与える影響をNMR等を用いて評価した。赤材桑のリグニンでは、通常の広葉樹のリグニンに見られる3つの主要な結合単位、即ち8-O-4型、8-8型、8-5型の化学構造の一部が変化していることが分かっている。今回の調査により、少なくとも8-O-4型については、ホモ欠損型個体でのみ赤材桑と同様の変化が検出された。この事実と昨年度の研究結果を合わせて考えると、赤材桑におけるリグニン分子構造の変化は、CAD遺伝子の機能欠損にあることが強く推察される。また、抽出成分を除いた木粉を用いた酵素糖化実験の結果から、ホモ欠損型個体で見られたリグニン構造の変化は、若干ではあるが糖化性の向上に寄与しているように思われた。赤材桑と他のクワ品種の木材の比較においても、前者において糖化性が高い結果が得られていることを考えると、CAD遺伝子の両アレルでの機能欠損がリグニン構造の変化に加えて多糖を含む木材全体の構造変化を引き起こしている可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の計画遅延を挽回し、2年度分の研究成果が得られたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
CAD遺伝子のヘテロ欠損、およびホモ欠損株の木材の酵素糖化性や、木材中のリグニンのNMRによる分析、木材物性の評価などを実施することで、CAD遺伝子欠損の有用性を実証する。
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