2022 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス活動変容からアプローチするアルツハイマー病発症機序の解明
Project/Area Number |
22H02955
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 博貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30422413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 直 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副部門長 (00321787)
掛川 渉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70383718)
高野 哲也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (00725541)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プレセニリン / シナプス機能 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)では、神経細胞のシナプス脱落が早期の病変として報告されている。本研究では、家族性ADの原因遺伝子であるプレセニリン(PS)遺伝子との関連が強いプレシナプス機能に焦点を当て、その生理機能及びPS変異におけるシナプス機能障害の分子機序を明らかにする。PSの生理機能は、アスパラギン酸プロテアーゼ複合体であるγ-セクレターゼの触媒サブユニットとするAPP切断を介したAβ産生だけではなく、他の基質切断などを介して、プレシナプス機能に関わっていると考えられている。 この目的のため、split TurboIDを用いた近接依存性標識法を培養細胞及びマウス脳組織で構築し、神経細胞のプレシナプスでPSと特異的に相互作用するタンパク質をビオチン標識する実験系を開発した。本年度はPS融合Split-TurboIDコンストラクト設計の至適化を行なった。まずPSタンパク質のどの部位にTurbo-IDを融合させるのが適切か検討したところ、TurboIDをPS1あるいはPS2のN末に融合した発現ベクターにおいて、PS/γ-セクレターゼ活性を保持しつつビオチン化活性も示すことができた。 次にPS融合Split-TurboIDコンストラクトの至適化を行なったところ、TurboIDは78番目のGlycineと79番目のGlycine間でsplitすることがよいことが判明した。また、プレシナプス局在シグナルとしてGAP43タンパク質のシグナル配列を用いることで、シナプス特異的なTurboID活性を得ることができた。これらのコンストラクトを発現するようなアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを設計し、高タイターのセロタイプPHP.eBのAAVウイルスを自前で産生する系を構築した。 これらの組み換えAAVを3週齢の野生型マウス後眼窩へインジェクションすることで、全脳へ感染・発現させた後にビオチン溶液を皮下注射したところ、各TurboIDの発現によりビオチン標識されたタンパク質が検出することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で用いるアデノ随伴ウイルス(AAV)の種類が多いため、高タイターのセロタイプPHP.eBのAAVウイルスを自前で産生する系を構築した。その準備などで、数ヶ月の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Split TurboIDを発現する組み換えAAVウイルスをマウス脳へ感染・発現させて、プレシナプス特異的にPSと相互作用するタンパク質を網羅的に同定する。質量分析で同定された候補タンパク質のうち、シナプス機能及びADに関与するようなタンパク質を絞り込み、実際にPSと相互作用するかどうかを培養細胞やマウス脳組織を用いて検証する。これらの相互作用タンパク質のノックアウト細胞やマウスを作製することで、プレシナプス機能との関連性を調べる一方、Aβやリン酸化タウなどの古典的な病態マーカー変化と照らし合わせることで、PS変異によるAD病態変容へのPS相互作用タンパク質の役割を分子レベルで明らかにする。
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Research Products
(3 results)