2023 Fiscal Year Annual Research Report
High efficiency in the production of second-generation bioethanol by utilizing the fermentation promoting effect of Kampo medicine residue
Project/Area Number |
22H03784
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
重松 幹二 福岡大学, 工学部, 教授 (00242743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 嘉利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20172455)
亀井 一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (90526526)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | バイオエタノール / 漢方薬 / セルラーゼ / 発酵促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
原料バイオマスにキノコ類が混入したことを想定した影響を調べたところ、いくつかのキノコ子実体に漢方薬と同様の発酵促進効果があることがわかった。特に効果が高かったブナシメジについて可食部や非食部の違い、廃菌床の効果を検討したところ、石づきや廃菌床も発酵促進効果を示し、産業的に有効な利用法を提供できると考えた。この内容は、「キノコ菌糸体の混入がバイオエタノール製造に与える影響」として学会発表を行った。 また、エタノール発酵のタンパク質供給源として、食品系廃棄物であるサバみりん干し廃液や若鶏が産む軟卵の活用を考えた。みりん干し廃液を添加したところ、標準法と遜色なく酵母の増殖が進み食品ロスの観点から有効であったが、過度の添加は塩分濃度の上昇を伴い発酵阻害が見られた。鶏卵の場合、卵黄では発酵は進んだが、卵白はリゾチームの影響により酵母の増殖が阻害された。この解決には加熱前処理が有効であるとともに、本研究の主題であるマオウの発酵促進効果によっても解決できた。なお、含有タンパク質は酵母凝集体に変換されて容易に分離除去できることからCODを測定したところ、みりん干し廃液では半減し、鶏卵の場合はエタノール蒸留時にタンパク質が凝固するため約1/4に低下した。この内容は、「食品廃棄物をタンパク源としたエタノール発酵とタンパク質の資化」として学会発表を行った。 さらに、発酵阻害を引き起こすフルフラール類が共存する系のモデルとしてモラセス(廃糖蜜)を原料としたところ、ブナシメジの添加によって発酵が回復するとともに栄養素を供給する効果も加わり、ブナシメジがバイオエタノール製造の添加剤として有効であることがわかった。この内容は、「モラセスを糖原料とするバイオエタノール製造に対するブナシメジ乾燥粉末の発酵促進効果」として学会発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エタノール発酵に有効な漢方薬残渣のスクリーニングを、主に国内生産量の多いものから調査を進めている。そして、漢方薬の種類によって発酵を促進する最適添加量が異なることから、処方生薬ごとの促進と阻害の違いを調べ、統計手法を用いて混合物での効果の要因を明らかにしようとしている。また、漢方薬類似の物質として、スパイスの中に発酵促進効果と栄養素供給能を併せ持つものを見いだし、折れた野球バットではその材質による発酵促進効果の違いを明らかにしたことで新たな有効利用法の開発に拡張している。さらに、発酵促進効果を持たない漢方薬残渣については加水分解による糖資源化を検討したところ、木質バイオマスよりも容易にグルコースを得ることができ、再資源化への試みを進めている。 当初予想していなかった結果として、漢方薬残渣を添加して製造したバイオエタノールをガソリンエンジンに供したところ、通常のガソリンやバイオエタノールよりも排気ガスがクリーンになることを見出した。現在、ガソリン添加剤などの簡易な供給方法を検討するとともに、その要因の解明に着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
発酵促進効果の作用機序として、固形物の添加による物理的作用と、酵母の増殖あるいは代謝活性を促す生化学的作用を考えている。物理的作用に対しては、撹拌操作による溶存二酸化炭素の低減効果が寄与していると考えており、発酵促進物質との相乗効果の観点から検討を続ける。生化学的作用に対しては、活性成分の特定と、排出代謝物および酵母内代謝物の分析を行い、どの代謝経路に作用しているか検討する。 バイオエタノール製造コスト削減のための応用研究としては、短時間で高濃度のエタノールを得るために有効な漢方薬および類似物質の探索を続けるとともに、食品系廃棄物の栄養素供給源としての有効利用、蒸留残渣の再資源化を検討する。特に、蒸留で得たバイオエタノールのガソリンエンジンへの適応性を明らかにし、既存のガソリンよりもバイオ燃料が有利な点を見いだす。
|
Research Products
(3 results)