2024 Fiscal Year Research-status Report
Development of unsupervised learning methods for economic analysis
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23K25501
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥井 亮 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (20563480)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒住 英司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00332643)
Jiang Peiyun 東京都立大学, 経営学研究科, 助教 (20906929)
柳 貴英 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (30754832)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 計量経済学 / 教師なし機械学習 / パネルデータ分析 / クラスタ解析 / 構造変化 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教師なし学習に基づいた計量経済学手法の開発と、その理論分析および数値分析を目的とするものである。特に観測対象をグループに分けて分析する際に用いられるクラスタ解析の経済分析への応用における課題を解決し、経済データ分析の精度向上を図る。 具体的には、クラスタ解析においてグループ数やモデルを誤って指定した場合の従来の統計量の問題点を明らかにし、その知見を基に計算と解釈が容易な新たなクラスタ解析手法を開発する。この新手法については、理論分析と数値分析の両面から検証を行う。理論分析においては、時系列分析における構造変化の研究成果を活用する。本研究を通して、クラスタ解析と構造変化の統一的理解を深め、両分野のさらなる発展に寄与することを目指す。また、開発された手法を因果推論へと拡張することも視野に入れている。 令和6年度は主に理論分析を進展させた。特に、時系列が長い場合において、グループ数を実際より多く指定した場合の帰結を記述する理論を確立した。例えば、実際には3つのグループが存在するにもかかわらず、グループ数を2つとしてクラスタ解析を行った場合を考察した。この状況下では、1つの推定グループが真の1グループと一致し、もう1つの推定グループが真の残り2グループを統合したものになるための条件を、時系列が長い場合について理論的に解明することができた。 さらに、令和5年度までは定数項のみのモデルを検討してきたが、令和6年度ではこれを回帰モデルへと拡張し、経済分析においてより実用的な状況に対応できるようになった。 その他の成果:クラスタ解析を操作変数法に応用する方法や、クラスタ解析後のパラメータの統計的推測に関する理論など、クラスタ解析の経済分析への応用研究も進展させることができた。また、非定常時系列における構造変化の研究においても成果を挙げることができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、グループ数が実際よりも少ない場合について、数値計算と理論分析の両面から検討を進めてきた。数値計算に関しては、当初の計画を上回るペースで進展している。定数項のみのモデルから回帰モデルまで様々な状況を検証することができ、さらに逐次推定の数値計算も実施することができた。 理論分析においては、時系列が長い場合について、令和6年度中に回帰モデルへの拡張まで研究を進めることができた。これらの点から、研究は概ね順調に進展していると評価できる。一方で、時系列の長さが観測個体数と比較して小さい場合の理論分析については、引き続き今後の研究課題として残されている。 クラスタ解析のための統計的推測手法のうち、グループ構造の統計的推測方法については正式な出版に至った。また、クラスタ解析を操作変数法に応用する方法や、クラスタ解析後のパラメータに関する統計的推測手法など、クラスタ解析の経済分析への応用研究も進展させることができた。 構造変化の研究についても成果があり、複数の論文が出版されている。これらの成果は、本研究課題の最終目標である「計量経済学へのクラスタ解析の応用」および「クラスタ解析と構造変化の理論的融合」に向けた着実な進展である。この観点からも、本研究課題は順調に進捗していると結論づけることができる。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和7年度は、理論分析をさらに進展させる計画である。特に時系列が長い場合の回帰モデルに関する理論の完成と、時系列の長さが横断面のサンプルサイズと比較して大きくない場合の理論構築に焦点を当てる。これらの状況において、グループ数を実際よりも少なく指定した場合でもグループ構造が保持される条件を理論的に検証することが主な目的となる。また、この理論的成果を基に、逐次推定が可能となる条件を導出する予定である。 令和7年度から8年度にかけては、グループ数を実際よりも多く指定した場合の研究も実施する。まず数値実験を行い、その結果を踏まえて理論的な分析へと発展させる。 研究期間を通して、クラスタ解析の因果推論への応用も進める。特に差の差法への応用を中心に検討する。クラスタ解析を用いて、処置群と同じトレンドを持つ対照群を特定する方法を開発する。この応用においては、グループ数自体は主たる関心事ではなく、処置群と同じトレンドを持つグループが得られるかどうかが重要となる。そのため、グループ数を誤って指定した場合でもグループ構造が保持される条件を、差の差法の文脈で検討することが研究の核心となる。 クラスタ解析と計量経済学の統合、およびクラスタ解析と構造変化の理論的融合を進めるため、クラスタ解析の操作変数法への応用、クラスタ解析後のパラメータの統計的推測手法の開発、そして非定常時系列における構造変化の研究も並行して実施する。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、使用計画策定時に物品費と旅費の正確な予測が困難であったためである。差額は一万円以下であり、使用計画時の予測は概ね適切であったものの、完全な精度での予測は不可能であった。次年度使用額の金額自体はそれほど大きくないが、航空券代金や一般物価の継続的な上昇を考慮すると、この繰越金は予定された研究計画を予定通り遂行するために有効に活用されるものと考えられる。
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