2024 Fiscal Year Research-status Report
Multimodal electron beam analysis toward quantitative atomic-site-selective mapping of materials properties
| Project/Area Number |
23K26375
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 真弘 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 講師 (60646529)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊神 洋平 京都大学, 理学研究科, 助教 (30816020)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 電子顕微鏡 / 蛍光X線分析 / 電子チャネリング効果 / ALCHEMI法 / ドーパント / 占有サイト |
| Outline of Annual Research Achievements |
電子顕微鏡(透過電子顕微鏡(TEM)や走査電子顕微鏡(SEM))において,結晶試料に入射した電子の波動関数制御によって特定のブロッホ固有状態(電子定在波)を選択励起させながらナノ電子ビームの位置走査を行うことで,薄片試料に限らずバルク試料における原子レベルの結晶構造パラメータ(ドーパント占有率や化学状態,格子振動)をナノ分解能で定量計測・可視化(マッピング)する方法を構築することが本研究の目的である. 上記を達成するための布石の一つとして局所領域(数十nm程度)にナノ電子ビームを固定してビームロッキングを行う収差補正ビームロッキング計測システムは開発済みであり,そのソフトウェア制御であるがゆえのボトルネックを解消し計測をハイスループット化する試みは2023年度から開始した.今年度は2023年度から開始した測定時のサンプリング点数を削減し測定を高速化する試みを継続し,論文としてまとめた。また,この研究の副産物として,微量添加元素のサイト占有率を計測データから算出する際の誤差を見積もる計算式として以前から広く用いられてきた表式に誤りがあることを見出し,これを修正したものを論文として発表した. 以上に加えて,従来型の高角度分解能電子チャネリングX線/電子分光(HARECXS/HARECES)法の実用材料分析への応用として,W型Sr六方晶フェライト磁石をターゲットとしてZn添加による磁気特性向上のメカニズムとして非磁性元素Znの占有サイトと磁性元素Feの電荷の再分配が機能していることを明らかとした.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度には,ソフトウェア制御に基づく収差補正ビームロッキング計測法による局所分析の実用化を進めるため,昨年度に引き続きサンプリング点数削減の指標の検討を進め,いくつかの結晶構造に対して適用可能なサンプリング点選択のルールを構築し(測定時間を二桁程度短縮することに成功),これを論文としてまとめた. 当初目的としては,マルチモーダルな電子ビーム制御(ビーム傾斜角度と位置の同時制御)によって特定の電子定在波を選択的に励起させた状態で励起させながらビーム位置走査を行うことでサイト選択的物性情報のマッピングを目指しているが,現行の透過電子顕微鏡システムにおいては広範囲を位置走査する場合にビーム位置に依存してビーム傾斜が入ってしまうため,これを相殺するようなシステムの検討が必要であることはわかっており,当初予定よりは遅れている. 以上のように,一部遅れは見られるが既存手法によるアプリケーション例の論文化なども達成しており全体としては概ね順調に進展していると考えている.
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| Strategy for Future Research Activity |
現時点において当初計画の柱であるマルチモーダルな電子ビーム制御(ビーム傾斜角度と位置の同時制御)による特定の電子定在波を利用したサイト選択的物性状態マッピングに関する技術検討などが遅れている.また,この手法に関しては従来透過電子顕微鏡(TEM)で取り扱うような薄片試料に限らず,走査電子顕微鏡(SEM)で扱うバルク試料においても実現できることを期待している.SEMのビームロッキングモードを用いることでサイト選択的な計測データが得られるか否かについては予備的な検討は完了しているが,その詳細(例えば,試料厚みや用いる特性X線のエネルギーなどの影響)についての検討が不十分である.これらを重点的に検討すると共に,当初予定していた本実験のための計測システムの開発にも取り掛かりたい.
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| Causes of Carryover |
当初計画としては,ビームロッキング計測のために専用に設計された光学系を持つ卓上走査電子顕微鏡(SEM)をベースとして計測装置の開発を早期に進める予定であったが,従来から用いている透過電子顕微鏡(TEM)を用いた予備検討を進める上でいくつかの問題や課題が出ており、この部分に関する計画が遅れている.そのため,先述のビームロッキング計測専用電子顕微鏡の開発を進めるための金額が次年度使用額として残っている.今後は遅れている本部分に関して適宜進めていく予定である.
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