2023 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン欠陥サイトを導入した酸化物担体へのAuシングルアトム調製と触媒反応
Project/Area Number |
23H01763
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村山 徹 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 特任教授 (60583531)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | シングルアトム / 金ナノ粒子 / 金触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子利用効率の最大化のために,機能原子(Au)を原子状分散した高活性Auシングルアトム触媒の開発を目的として研究を実施した. まず,能動的にカチオン欠陥サイトを形成した酸化物の調製の検討を行った.単純酸化物表面においては,表面のラフネスによって金属欠陥サイトが生成する.酸化ニッケルでは,熱処理雰囲気や熱処理温度によって,酸化物表面のカチオン欠陥量が異なることが分かった.また,Niの前駆体の種類によって,同条件にて熱処理を行っても欠陥サイトの量が異なることが分かった.種々検討の結果,塩基性炭酸ニッケルを300℃にて焼成すると,表面にカチオン欠陥サイトを有する酸化ニッケルが得られることが分かった.このカチオン欠陥サイトを有する酸化ニッケルに金を原子状分散にて担持できることが分かった. さらには,キュバン型構造を基本骨格に持つ規則性酸化物において,金の担持を試みたところ,金ナノ粒子の担持と共に,一部原子状分散の金が確認できた.これは,表面規則性構造に基づいたシングルアトム固定化と関連する可能性が高いことが分かった. また,Cu/ZnOに金を助触媒として少量添加すると,CO2の還元反応においてメタノールへの選択作成が向上することが分かった.分析の結果,CuにAuが合金状態として分散していることが分かった.合金状態とシングルアトム状分散は本申請の趣旨とは異なるものの,シングルアトムの効果と合金の効果の比較検討するうえで有意義な結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
酸化物において熱処理の重要性とその条件が明らかになり,評価方法を構築できたため,今後のスクリーニング研究を加速することが可能となったため. また,単純酸化物のみでなく規則性構造を有する酸化物担体において金をシングルアトム状に分散できる可能性を示すことができた.これは,当初の計画では3年度目に予定した研究であったが,想定を超えて進展させることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
担体に使用できる酸化物の幅が広げ,多種の触媒反応への応用に結び付ける.さらには,これまで低担持量のみでしか実現できなかったシングルアトム触媒の高担持量化に繋げる.さらには,異種金属を添加した酸化物を用い,酸によるエッチングにより表面から異種金属添加金属を取り除けば,任意の金属欠陥サイトの形成が可能となると考えられる.この欠陥サイトにAuを原子状に分散した触媒の開発を行う. 次に,担体の開拓を行う.Auナノ粒子触媒では,担体を変更すると触媒活性が大幅に変わることが明らかになっている.Auシングルアトム触媒においても,担体酸化物の種類が活性に大きく影響すると予想できる.しかしながら,Auをシングルアトムとして安定化できる担体の種類は限られており,応用の観点からの反応の適用性調査が不十分であり,且つ担体に応じた活性の違い,すなわちAuシングルアトムと担体との相互作用が未解明である.そこで,CO酸化反応を例に,本申請において得られた新しい酸化物担体を開拓し,Auシングルアトム触媒におけるAu原子と担体との相互作用による触媒機能を明らかにする.さらに,Auシングルアトムにおける担体の役割を明確にした上で, Auシングルアトム触媒を種々の気相酸化反応に適用することで, Auナノ粒子,Auクラスター,Auシングルアトムにおける真のAu元素の役割を理解する.
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