2023 Fiscal Year Annual Research Report
多機能化のための生体親和性クリックケミストリーの創成
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23H02091
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜井 勲 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (80401561)
丹羽 節 九州大学, 薬学研究院, 教授 (30584396)
坂田 優希 工学院大学, 先進工学部, 助教 (40896825)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | クリック反応 / アジド / 環状アルキン / トリアゼン / 化学修飾 / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命機能の分子レベルでの理解と制御を可能にする方法論の開拓が求められている。これまでに研究代表者は、独自に開拓したアジド基や環状アルキンなどの反応性の制御法を基盤に、複数の機能性部位の集積に利用できる逐次分子連結法を創出し、これらを活用して合成した多機能性分子プローブを用いる生体分子機能解析技術を創出してきた。本研究では、これらの技術をさらに深化させることで、興味の対象となる生体分子本来の性質を維持したまま機能を付与できる、生体親和性の高い分子連結法の開発を目指した。この目的に向け本年度は、トリアゼンをアジド前駆体として用いる新手法の開発、および高い水溶性を保持する分子連結法の開発に取り組んだ。(1)トリアゼンは強酸を作用させることでジアゾ化合物に変換されることから、容易にアジド基に変換される前駆体と言えるが、その強酸条件は基質適用範囲を大幅に制限する。これに対し、紫外光照射により強酸を添加することなくアジドが得られる新たな反応条件を見いだした。本手法は官能基許容性が極めて高く、複雑な化学構造を有するアジドの合成に有力な手法となりうる。現在、そのより詳細な適用範囲の検証に加え、本アジド化反応の機構解明に取り組んでいる。また、(2)水溶性を担保する分子連結法の開発を目指した検討においては、独自に開発した環状アルキン合成法を基盤に、糖構造等の高親水性部位を導入した環状アルキン分子の合成に成功した。これをクリック素子として用いて分子連結を行うことで、連結部位が親水性向上に寄与し、生体分子が本来有する動態等の特性を損なわずに化学修飾を行えるようになると期待される。現在、タンパク質にこれらの分子を導入した際の親水性等を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究内容が順調に推移し、トリアゼンを利用したアジド化学の新展開、および、高親水性クリック素子の開発、それぞれの研究項目において想定通りの成果が得られていることから、概ね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
トリアゼンのアジド化については、引き続き基質適用範囲の精査と反応機構解明を行い、複雑な化学構造を持つ高親水性アジド化合物の合成へと応用する。これと並行し、照射する光の波長を長波長化する検討に着手する。親水性環状アルキンについては化学構造を多様化し、タンパク質等に導入した際に動態等に大きな影響を与えない連結素子を設計し、その合成を検討する。これらを組み合わせることで、クリックケミストリーによる多機能分子の創製を進める。
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