2023 Fiscal Year Annual Research Report
TIME誘導能に応じた膵癌サブタイプ分類と個別TIME改変を目指した新規治療戦略
Project/Area Number |
23H02770
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大内田 研宙 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20452708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 政史 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10783508)
阿部 俊也 九州大学, 大学病院, 助教 (20722028)
森山 大樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70586859)
田村 公二 九州大学, 大学病院, 助教 (90909582)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍免疫微小環境 / サブタイプ分類 / 集学的個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は、他癌種に比較して難治癌であり治療開発の成果は後進的である。その原因として腫瘍微小環境内に高度なheterogeneity があり、多様な免疫細胞と癌細胞が絡み合った腫瘍免疫微小環境(TIME)の複雑さを有する点が挙げられる。本研究では患者個々の癌細胞と間質細胞の機能的・抗原特異的特性および空間的分布を解析し、TIMEの分類と改変を目的としている。今年度はまず、ヒト膵癌の免疫染色を行い、CD8陽性T細胞、B細胞、Treg、CAFなどの分布を把握した。この際、CD8陽性T細胞の浸潤部位が辺縁の間質のみのものや、浸潤自体は少ないが、3次リンパ構造(TLS)を形成している症例なども認めた。 次にすでに保有していたPublicの膵癌シングルセルRNA解析(scRNA-seq)を行い、CD8陽性T細胞数が多い症例(hot tumor)では、CD8T細胞の活性化、疲弊化マーカーが高く、逆にCD8陽性T細胞数が少ない症例ではナイーブT細胞のマーカーの発現が高い傾向にあることがわかった。TLSの解析においては、他癌種のscRNA-seqでTLSを有する症例のCD8陽性T細胞では細胞障害性マーカーの上昇と、樹状細胞での抗原提示能が上がっていることが明らかになった。また、他癌種におけるシングルセルT細胞受容体レパトア解析(scTCR-seq)では、T細胞浸潤の程度が中程度の症例が、低浸潤、高浸潤の症例よりもCD8陽性T細胞のT細胞受容体(TCR)レパトアが増加しており、浸潤の程度とレパトアが必ずしも一致しないことが明らかになった。 これらのことから、CD8陽性T細胞浸潤では中程度や浸潤場所の分布も考慮すべきこと、TLSも分類に組み込む必要性があると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膵癌切除検体のscRNA-seq/scTCR-seq/Visiumによる膵癌TIMEサブタイプ分類の作成を目的とし、様々な解析手法を用いて、免疫微小環境の詳細について検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずTLSの評価に必須となる空間的解析技術(visium等)も併用したさらなる解析を進め、膵癌の腫瘍免疫微小環境のサブタイプ分類を進める。次に、膵癌TIMEサブタイプを再現した3Dオルガノイドモデル・マウスモデルの作製を行う。すでに複数の自然発がんマウス由来膵癌細胞をマウスに同所移植することで、細胞株ごとに異なるTIMEを誘導することを確認しており、この細胞株をヒトの免疫微小環境サブタイプに分類することが可能であると考える。その後次年度以降は、再現モデルに対して、治療反応性の評価を行い、集学的治療戦略の構築を目指す予定である。
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Research Products
(1 results)