2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction and functions of supramolecular polymers based on antiaromatic porphyrins
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23KF0145
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50281100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG KAISHENG 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-09-27 – 2025-03-31
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Keywords | 反芳香族化合物 / ノルコロール / 超分子 / ビラジカル / スタッキング / キラリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、反芳香族化合物であるノルコロールニッケル錯体に対してベンゼン環を縮環させるとビラジカル分子となることを見いだしていた。本研究では、ノルコロールニッケル錯体に対するπ電子系拡張の効果をさらに検討するため、ノルコロールに対して芳香族化合物であるポルフィリンを連結し、三重に縮環させることでπ電子系を拡張した新規化合物の合成を検討し、ジピリンホウ素錯体を中間体として経由することでそのに成功した。この分子の単結晶X線構造解析に成功し、ノルコロール部分がお椀型に変形し、分子全体として湾曲した興味深い波型構造をとることを見いだした。さらに、この分子が結晶中ではスタッキングし、二量体を形成していることを明らかにした。 続いて、この分子の物性を詳細に検討した。その結果、この分子のノルコロールユニットとポルフィリンユニットはそれぞれ反芳香族性と芳香族性を保持していることも明らかになった。特に興味深いことに、この分子が開殻性を示し、温度上昇とともに三重項ビラジカルの生成にともなう磁化率の上昇を観測することができた。また、電気化学測定および紫外可視近赤外吸収スペクトル測定の結果、この分子がノルコロール単量体よりも顕著に狭いHOMO-LUMO gapを持っていることが明らかになった。密度汎関数法を用いる量子化学計算の結果、この分子のビラジカル性は狭いHOMO-LUMO gapに起因することを解明することができた。狭いHOMO-LUMO gapをもつ分子の設計指針に対して知見を与える結果であり、結晶中における二量体形成は、近接積層による超分子の形成へと展開可能な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ノルコロールーポルフィリン連結二量体において積層した構造を見いだすことができた。さらに、この分子がフラーレンC60を補足し、超分子錯体を形成することを予備的に認めており、今後の超分子化学への展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ノルコロール対してイオン性の側鎖を導入し、反芳香族化合物の間に作用する引力的な相互作用に加えて、イオン間の相互作用を相乗的に用いることにより、超分子ポリマーが形成できないか検討する。
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Causes of Carryover |
目的化合物の合成が想定以上にスムーズに進んだため、合成ルートの検討に必要と見込んだ消耗品の費用を抑える事ができたほか、ビザの都合上参加予定であった国際学会への参加を取りやめたため、見込んでいた旅費が不要となった。 次年度使用額については令和6年度の所要額と合わせて、新規目的化合物の合成のための合成ルート探索のために使用する。国内学会への参加費としても活用する予定である。
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Research Products
(10 results)