2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on topological constraints that characterize the vortex structure of plasmas
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23KJ0435
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
布谷 圭一郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | Magnetohydrodynamics / Euler Equation / Topological Constraint / Enstrophy / Relativity / Clebsch Representation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、プラズマの流体モデルをハミルトン力学系として捉える手法・描像を、相対論的な場合や散逸のある場合にまで拡張することである。特に流体力学における循環に相当する保存量エンストロフィーに注目して、これが非相対論的な古典系でどのように振る舞うかを調べている。 雑誌論文 K. Nunotani and Z. Yoshida, Physics of Plasmas, 29, 052905, 2022 にて、散逸のない特殊相対論的状況において「① 従来のエンストロフィーの保存が破れること」「② エンストロフィーの測り方に相対論的補正を入れることで、特殊相対論的に保存するエンストロフィーを構築することができること」を明らかにしている。特に前者の ① については従来のエンストロフィーの時間変化を定量的に記述できている。しかし、この数式は仮想的なポテンシャル場(クレブシュ変数と呼ばれている)を含む形となっており、どのような場合に従来のエンストロフィーが相対論効果で増える(あるいは減る)のか、といった定性的な議論はできていない。 そこで2023年度は、特殊相対論的状況におけるオイラー方程式の解析解を構築して、従来のエンストロフィーがどのように時間変化するかを可視化した。適度に対称性のない解でないと相対論効果が現れないという課題があり長い間苦戦していたが、解決することができた。2023年度末の時点では論文投稿には至っていないが、2つの国際学会において暫定的な成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば2023年度の研究成果の論文投稿までを2023年度中に完了したかったができていないため、やや遅れていると判断した。遅れている要因としては、特殊相対論的状況におけるオイラー方程式の解析解を構築するのに想定以上に時間がかかったことが挙げられる。 多変数の偏微分方程式の解を構築する際は、いくつかの変数に依存しないような対称性の高い解を考えるのが主流である。しかし本研究で興味のある「従来のエンストロフィーの受ける相対論効果」は、対称性の高い解の場合は現れないことが分かっている。このため、計算できる程度には対称性が高く、エンストロフィーに相対論効果が現れる程度には対称性が低い、適切な解析解の構築に大きな労力を費やすこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは2023年度に得られた成果について、もう少し具体例を拡充して論文投稿する予定だ。 そのあとは、散逸のある場合にプラズマの流体モデルが受ける影響を解析する予定である。具体的には以下のトピックを掘り下げる: 1. 非相対論的なナビエ-ストークス方程式では拡散項はラプラシアンで記述されるが、相対論的な拡散ではどのような形になるか。 2. 散逸のある非圧縮流体をクレブシュ表現(仮想的なポテンシャル場を用いた流れの表現)で記述する理論(N. Sato, Phys. Fluids 33, 013102, 2021)の拡張。
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Causes of Carryover |
論文投稿が2023年度中に完了できなかったため論文の掲載費を支払っていないこと、参加した国際学会が日本で開催される年だったため旅費が想定よりも安く済んでいることが挙げられる。 2024年度は複数の国際学会に参加する予定であるから、その旅費に充足する予定である。
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