2023 Fiscal Year Research-status Report
コウモリの群パターンを形成する行動決定過程の順・逆モデル化のための解析基盤構築
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23KJ1058
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
手嶋 優風 国立研究開発法人海洋研究開発機構, SIP海洋統括プロジェクトチーム, 特任研究員
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 生物の群行動 / 行動決定過程 / エコーロケーションコウモリ / 順・逆モデル化アプローチ / 音響シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、音響情報をもとに「群れ」で行動しているコウモリを対象とし、個体の行動決定過程が「群れ」のパターンへどのような影響を与えるのかを順・逆モデル化アプローチ手法を基盤とした解析手法を構築することで明らかにする。 その目的に対して、これまで、計測実験では取得困難な飛行中にコウモリに届くエコーを、コウモリの行動環境を音響シミュレーションに導入することで算出を可能とし、論文として発表した(Teshima+24, Royal society open science)。 そして、コウモリ1個体の障害物空間における行動決定過程のモデル化のために、コウモリの行動計測を行い、そのデータを基に模倣学習を用いることで、コウモリの障害物空間下の行動方策を構築することを可能とした。 具体的には、コウモリの飛行速度を予測する模倣学習のモデルにVariational Recurrent Neural Network(VRNN)を用い、コウモリがパルスを放射した際にのみ環境情報を入力するように学習を行った。結果、コウモリの障害物空間の行動方策のモデル化に成功した。さらに2種類の飛行タイプの異なるニホンキクガシラコウモリとユビナガコウモリの行動方策は共通しており、種を超えた障害物回避の行動方策が、コウモリのエコーロケーション行動に秘められている可能性を見出した。こちらの研究内容は、学会発表にて報告し、賞も受賞している。現在、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していた1年目の夏までに完成予定の解析基盤の構築は、VRNNのニューラルネットワークを用いることでコウモリの行動決定過程をモデル化することに成功している。さらに音響シミュレーションも実装済みで論文で報告している。さらに、順モデル化アプローチで強化学習の構築についても現在実装中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、音響シミュレーションで算出したエコーをVRNNへの入力としてモデル構築を行う。そして、構築したVRNNから逆強化学習(Pirotta+16, AAAI)により報酬関数を算出する予定である。そして算出した報酬関数を基に、サイバー空間において強化学習でコウモリの行動を模倣するエージェントを同定する。
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Causes of Carryover |
学会参加への計画が2024年度にずれ込んだため、旅費の出費が想定よりも少額となり次年度使用額が生じた。2024年度に学会参加を見込んでおり、その旅費として計上する予定である。
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