2024 Fiscal Year Annual Research Report
圧力印加によるチューナブルな界面電子状態の実現と新奇スピンデバイスへの応用
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23KJ1701
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飯森 陸 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC2)
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| Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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| Keywords | 圧力効果 / スピントロニクス / スピン流 / 界面ラシュバ効果 / スピンホール効果 / 界面磁気相互作用 / 原子層物質 |
| Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は以下の2項目の研究を実施した。 (1)界面スピン輸送現象に対する圧力効果 重金属界面と強磁性体を接合させた系において、圧力印加によりスピン注入効率が増強される結果を得ていたが、強磁性層の電流磁気効果や磁気熱電効果などの物性変化の可能性を排除しきれていなかった。そこで本年度は、PtおよびCoFeBの複合デバイスにおいて異常ネルンスト効果の圧力依存性を評価した結果、当該効果に顕著な変化はないことが判明した。このことから、前年度までに得られた重金属/強磁性体界面におけるスピン信号の増強効果は、主に界面磁気相互作用によるものであると考えられ、その成果をまとめた論文を現在準備中である。
(2)ファンデルワールス(vdW)強磁性体デバイスに対する圧力効果 本年度は、これまでのvdW強磁性体Fe3GaTe2の圧力実験から判明した、層間磁気相互作用に起因した磁気異方性の増大に関する論文をCommunications Materials誌に出版した。さらに、このvdW強磁性体の巨大な歪応答に関する知見を活かして、圧電体と組み合わせたヘテロ構造において、Fe3GaTe2の磁気特性の電界制御を目指した研究も行った。結果としては、電界印加によりFe3GaTe2に歪勾配誘起のジャロシンスキー・守谷相互作用が生じ、磁気ドメインを制御できることを実証した。これらに加えて、vdW強磁性体における動的スピン注入現象に対する圧力効果の研究も行った。昨年度、重金属Pt/Fe5GeTe2構造においてスピン注入信号を検出することに成功したが、本年度は同素子を用いて圧力実験を行った。結果としては、スピン信号が加圧とともに減少することが分かった。これまでの研究結果から本研究の圧力範囲においてPt層のスピンホール効果の圧力変化は無視できるため、Fe5GeTe2層のダイナミクスの変化が支配的に寄与していると考察している。
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