2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24000001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 聡 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80396225)
林 美里 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50444493)
足立 幾磨 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80543214)
山本 真也 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40585767)
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Project Period (FY) |
2012-05-29 – 2017-03-31
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Keywords | アウトグループ / チンパンジー / ボノボ / 野外研究 / 比較認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人間に最も近縁なチンパンジー属2種(チンパンジーとボノボ)を対象に、野外研究と実験研究を組み合わせ、認知機能の生涯発達と世代を超えた知識や技術の伝播に焦点をあてることで、人間の認知機能の特徴を明らかにすることを目的としている。複数世代の群れ作りをしてきた京都大学の霊長類研究所と熊本サンクチュアリ、継続観察してきた西アフリカ・ギニアのボッソウの群れ、そしてボノボの野外研究と実験研究を組み合わせ、「人間とは何か」という究極的な問いに答える。本研究では、人間とは何かを考える「アウトグループ(当該の対象の外にあるもの)」という発想にたどりついた。人間(ヒト属)のすぐ外に位置するチンパンジー属2種を知ることが、人間そのものの理解につながる。以上の基本的構図のもと、平成24年度は以下のような研究をおこなった。最先端研究基盤支援事業(H22-24)で、霊長類研究所と熊本サンクチュアリに比較認知科学実験設備3セットを整備した。世界に類例のない巨大グループケージで、野生チンパンジーの分裂凝集する群れ全体を飼育下で再現し、その内部にコンピュータ・プラットフォームを設けて同時に複数個体の認知実験を実施することが可能となった。 チンパンジーの野外研究はギニアのボッソウ・ニンバの群れ、実験研究は霊長類研究所14個体と熊本サンクチュアリ50個体を一体的に運用し、成果をあげている。ボノボの野外研究はコンゴのワンバの群れを対象とし、実験研究では熊本サンクチュアリに4個体を導入する準備を進めた。このチンパンジー属2種と人間の「ヒト科3種比較研究」を進めるため、チンパンジーではアイたち第1世代の孫にあたる第3世代を作り、知性の生涯発達と知識や技術の世代間伝播を研究する体制の準備を進めた。アウトグループの発想から、人間そのもの、およびヒト科3種の外縁にいるオランウータンその他の霊長類も比較対象として研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
霊長類研究所のチンパンジーにおいて第3世代の繁殖準備のため、繁殖予定個体への避妊薬投与を終了して新たな群れ編成をおこなったが、当該年度中には実際の繁殖には至らなかったため、予算の一部の次年度繰り越しをおこなった。それ以外では、研究が順調に進展し、チンパンジーとボノボそれぞれの種について、野外研究および実験研究の成果を様々な形で公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、チンパンジーの第3世代の繁殖にむけた努力を続けるとともに、ヒト科3種を主な対象とした比較研究を、野外研究と実験研究の双方から推進する。
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Remarks |
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/
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Research Products
(23 results)