2015 Fiscal Year Annual Research Report
国際市場を前提とする服飾造形とテキスタイルの設計提案に関する技術的経営的研究
Project/Area Number |
24220012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高寺 政行 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10163221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 毅 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (00092867)
森川 英明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10230103)
乾 滋 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10356496)
南澤 孝太 慶應義塾大学, メディアデザイン研究科, 准教授 (10585623)
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (20252546)
鋤柄 佐千子 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (30216303)
大塚 美智子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (30233183)
金 キョンオク 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (30724885)
宮武 恵子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (40390124)
松村 嘉之 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (50362108)
鈴木 明 杉野服飾大学, 服飾学部, 教授 (60349149)
韓 載香 北海道大学, 経済学研究科, 准教授 (60396827)
柳田 佳子 文化学園大学, 服装学部, 准教授 (60409323)
古川 貴雄 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70262699)
石川 智治 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (90343186)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | テキスタイル / ファッション / アパレル / 国際市場 / 衣服パターン / デザイナー / テキスタイル選択 / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
テキスタイル提案システム(TPS)の構築および評価実験を推進し,システムの特許申請を行なった。英語版を作成し、国際評価実験を行い、有効性と課題を明らかにした。生地種不明の生地分類法について、アイテムに基づいた分類と、目付けの重要性を明らかにした。生地画像の提示法について、目付けおよび各種感覚特性に適応する画像撮影方法を確立した。生地の新規性認知に関して、視覚と触感覚の相反例を見出した。テキスタイルシミュレーション画像による色違い生地の代替可能性を示した。触感提示システムを試作し、画像と触感の同時提示により再現性の向上を示した。アパレルの色彩を数量化し周期的な色彩変動の抽出に成功し、トレンドの数理的予測の可能性を見出した。 服飾造形の国際化に関する研究を推進した。中国人の体形特徴や服飾嗜好を調査した。日仏伊間の着心地評価の差異を明らかにした。各国パターン作製方法と想定ボディ間の適合性を実証した。パターンメーカーとデザイナーの共同経験が暗黙の了解範囲を広げることを実証した。また、オートクチュールの製作実験を開始した。 経営的研究として、製造小売り業態に注目し、製品の1次設計と、小売店頭で商品を識別する記号とが相互に密接な関係をもつとの認識を掲げた。設計主務者の作業はこれらの記号の推定であり、小売の「コミュニティ」を推定することとした。①コミュニティの「意思」が店の売上変動に与える影響を提示し、②POSデータを人工的に生成し、モデルを構築し、現実の店に近似するよう実験を進め、③これらのデータを総合し多店舗化の効果(事業価値)を推計する作業を行なった。 製品におけるコストと工場裁量の影響解明のための調査と国際製作実験を行なった。国際テキスタイル展示会に出展回数の多い企業にヒアリングし、経営上の特質を継続して追及。繊維・アパレル産業における取引先関係に関するBigDataを分析、商社との関係性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した作業が予定通り進んでおり、論文・特許などの成果が十分出ている。 デザイナーのテキスタイル選択過程を推定し、最終製品である服飾設計の国際的特徴と要件を整理したうえで、仮説を設定した実験を繰り返し、その結果がIFの高い国際雑誌にも採録されている。当初目標にむかって順調に進んでいるといえる。服飾設計者の認知的限界についての問題は浸透しており、modelismeのみならず、stylismeをテーマとする実験を引き続き実施し、順調に論文化されている。 テキスタイル提案システム(TPS)の構築に関しては、内外から試料を収集し、デザイナー視点で再整理、感覚表現語を工夫しDBを構築し、中間段階での実務側からの評価を踏まえて改良し、プロトタイプを構築した。システムとして特許出願を果たしており順調に推移している。 衣服の生理的物理的条件をクリアしたのちは、着用者から見た服飾の可否はスタイリングにある。設計者が意図するスタイリングはmodelismeで実現される。Modelismeと製造工程の関係を明示する実験と調査が一部終了し、論文発表を行なっている。 テキスタイルの提示技術に関しては、テキスタイルの触覚属性を分析し、数量的に示す方法に加え、各属性の視覚提示に有効な画像の撮影方法を確立するなどこの問題を順調に処理している。テキスタイルシミュレータによる代替提示についても、有効性と限界をしめしている。さらに仮想テキスタイルによる動的提示に関しても利用の可能性が見出されており、予想以上の成果が期待できる。TPSプロトタイプを英語化し、国際評価実験を開始し、その有効性を確認するとともに、使用者の母国語化の必要性も示された。 さらに、有効性を高めるためのデータ構造および情報提示方法、標準サンプルの決定法、検索方法の改良などを実験と平行して実施しており、当初目標の達成が十分に見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
各パートの課題の深化とともに隣接関連他領域との活発な相互作用による研究目的達成を目指す。ファブリックシミュレータ、仮想布による伝達、触感を想起する視覚伝達、標準試料・尺度の情報化と伝達、触感デバイス可能性につき、結果をまとめる。試作したテキスタイル検索システムをデザイナー、テキスタイル企業へのヒアリングや国際評価実験により改良し、実用性を高める。また、画像に関する機能および多国語対応などの機能を追加し、TPS構築を総合的に推進する。新しさや付加価値につながるテキスタイル物性の要因、触感提示の可能性など要素研究をまとめ、論文発表により、学術的成果を得る。触感の伝達に関しては、テキスタイルの質感の特徴を強調した触感提示手法の開発、およびその効果の検証を行なう。ファッションの色彩に関して、グローバルと地域の特色を調べる。また、シーズンにおける複数トレンドの分離方法を検討する。 ファッション衣料の設計はstylismeとmodelismeに大別される。modelismeに関しては、体型と設計法の相互依存性を解明し、設計の汎用化を検討する。stylismeとmodelismeの相互作用に関しては、少数例ではあるがこれまでに一定の知見を得ている。国際プレゼンスを高めるには stylismeの領域の知見をさらに充実させる必要があり、デザイン学、設計学、認知心理学等の専門家に調査し、現段階での知見をまとめる。ファッション衣料の設計は芸術ではなくビジネスであるという視点を重視し、論理の組み立てを再検討し、試案を示す。 本研究の究極の目的である日本のファッションの国際プレゼンスを高めるための有用な概念の提供に努める。世界市場での服飾造形ニーズを知り、少しでも積極的な満足を高める衣服の提案を可能にすべく研究をまとめ、論文、国内外の学会、公開研究会等で発表し、成果を社会に還元する。
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Research Products
(124 results)